2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ror1の新規シグナル伝達タンパク質の同定および筋芽細胞分化制御機構の解析
Project/Area Number |
17K15596
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 真琴 神戸大学, 医学研究科, 助教 (50722930)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衛星細胞 / 筋芽細胞 / Ror1 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋には筋組織特異的な幹細胞である衛星細胞(SCs: satellite cells)が存在し、SCsは筋組織の損傷時の修復・維持の過程などで中心的な役割を担っている。正常時の筋組織では、SCsは筋管と基底膜の間に存在し静止期の状態にあるが、損傷を受けた筋組織では、SCsの活性化が起こり、SCsを介した筋組織の修復が開始する。活性化したSCsは細胞増殖を開始し、非対称分裂によって筋芽細胞前駆細胞を産生する。筋芽細胞前駆細胞は増殖を繰り返した後、増殖を停止して筋芽細胞に分化する。最終的に、筋芽細胞は互いに融合して筋管となり、損傷部位の修復を行う。私たちはWnt非古典的シグナルを担うRor1が筋芽細胞で発現していることを見出した。そこで、筋芽細胞分化におけるRor1の役割を明らかにするために、Ror1の基質タンパク質の同定を計画した。そのために、野生型Ror1タンパク質のC末端(細胞質内ドメイン)にビオチンキナーゼ(BioL)を付加した融合タンパク質(Ror1 WT-BioL)、およびRor1のチロシンキナーゼ活性を欠失させた変異体タンパク質(Ror1 DK)のC末端にビオチンキナーゼを付加した融合タンパク質(Ror1 DK-BioL)を発現するプラスミド発現ベクターを構築した。これらのプラスミド発現ベクターをマウス筋芽細胞株C2C12細胞に一過的遺伝子導入を行い、ウエスタンブロッティング法を用いてRor1 WT-BioLおよびRor1 DK-BioLタンパク質の発現を確認した。さらに、プラスミド発現ベクター内のネオマイシン耐性遺伝子を利用して、これらのタンパク質を恒常的に発現するC2C12細胞の樹立を行った。今後、これらのRor1-BioL発現C2C12細胞はクローン化および筋芽細胞分化能の確認を行ったのち、Ror1の基質タンパク質同定実験の研究に利用可能である。
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