2017 Fiscal Year Research-status Report
ネクチン様分子による細胞膜受容体二量体化の阻害機構
Project/Area Number |
17K15597
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
慶田城 迅 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00754558)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Necl-4 / ErbB3 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜一回貫通型受容体は、リガンドを受容することで二量体化、それに伴い活性化し、細胞の生存や分化、増殖などを制御している。この受容体の活性化には二量体化が必須であるが、申請者は、細胞間接着分子ネクチン様分子のNecl-4が、受容体であるErbB3と結合し、リガンドによるErbB3 / ErbB2の二量体化を阻害することを見出した。本研究では、Necl-4によるErbB3 / ErbB2の二量体化阻害の詳細な機構の解明を目的として実験を行い、本年度は以下に示す結果が得られた。 (1)Necl-4によるErbB3 / ErbB2二量体化の阻害機構を解明するためには、Necl-4とErbB3の複合体の結晶構造解析が有効であるため、結晶解析に必要なこれらの組換えタンパク質を高発現する細胞の樹立を行った。この細胞から大量に組換えタンパク質を精製することに成功し、現在東京大学理学部の濡木理教授、石谷隆一郎准教授の協力のもとNecl-4 / ErbB3複合体の結晶化スクリーニングを実施している。 (2)Necl-4によるErbB3 / ErbB2の二量体化阻害に関与するNecl-4のアミノ酸配列を同定するため、結合部位のアミノ酸配列を化学合成して細胞に対する効果を確認した。現在さらにその部位を断片化し、化学合成したペプチドの細胞への効果をみることで、より詳細なアミノ酸配列を同定している。 (3)Necl-4によるErbB3以外の膜一回貫通型受容体の制御機構を探索するため、結合タンパク質をスクリーニングするため実験系を樹立している。また、結合が確認されているPDGF受容体への作用を検討した。NIH3T3細胞にNecl-4を発現させると、PDGF受容体のタンパク質量が上昇し、細胞内において両者がエンドソーム様の構造体で共局在していた。これまでにネクチン様分子がエンドソーム様の構造に局在しているという報告はなく、Necl-4の新規な機能が見つかる可能性があり、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、Necl-4 / ErbB3複合体の結晶構造を解析するための準備が整い、現在結晶化スクリーニングを実施している。またこれまでに解析してきた、Necl-4によるErbB3 / ErbB2の二量体化阻害機構に関してScientific Reports誌に論文を発表することが出来た。さらにNecl-4の新規な機能を示唆する結果も得られ、その解析を含め期間内に計画を遂行することができると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの計画に従い、Necl-4によるErbB3 / ErbB2の二量体化阻害機構を分子生物学的・生化学的に解析していく。また、Necl-4 / ErbB3複合体の結晶が得られた場合、速やかにX線構造解析を行い、Necl-4による阻害機構の分子基盤の解明を目指す。Necl-4 / ErbB3複合体の結晶が得られなかった場合は、クライオ電子顕微鏡などの方法も視野に入れ方針を検討していく。さらにNecl-4と結合する新規膜受容体の探索に加え、Necl-4のPDGF受容体に対する新規な機能の可能性に関しても、細胞生物学的に解析を進めていく。
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