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2017 Fiscal Year Research-status Report

摂食刺激による概日時計位相調節機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K15600
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

松村 律子  山口大学, 時間学研究所, 助教(特命) (20728216)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords概日時計 / 摂食 / 位相調節 / ペプチドホルモン
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、摂食による概日時計位相調節に関わる因子を見出すための一次スクリーニングを行った。マウスから摘出した臓器を培養皿で培養し、種々のペプチドホルモンを培養液に添加する方法で概日時計への影響を検討した。概日時計への影響とは、ここでは具体的には概日時計の中心的構成因子である時計遺伝子Period2(Per2)の概日発現リズムへの影響のことを言う。実験に用いたPer2::LUCノックインマウスはPER2の発現量を発光レベルとして検出することができる。計画当初は、先行研究に基づき肝臓から検討する予定であったが、供試するペプチドを比較的少数に絞れたことから、動物の犠牲を極力少なくするため、一度に複数種の臓器について検討した。さらに、ペプチドホルモンの添加は、PER2発現量の上昇位相および下降位相の2つのタイミングで行った。このようにして、位相調節の方向性、位相応答性(時刻依存的な効果の差異)、組織特異性を同時に検討した。
本実験データは未発表であるため、ここではペプチドの実名は非公開としペプチドA-Jとする。現時点では明確な客観的基準による強度分類とはなっていないものの、実験の結果10種類のペプチド全てにおいて、複数種の臓器で少なくとも微弱な位相調節作用が検出された。また、ペプチドBでは大動脈において下降位相での添加により強い位相後退作用を、ペプチドCでは膵臓において下降位相での添加により強い位相後退作用を示した。これらの作用は逆位相の添加では作用を示さなかった。このことは、位相応答性が存在することを示唆している。
今回行った私たちのスクリーニング系は期待通り機能し、2種類のペプチドについて概日時計の位相調節作用が確認された。また、位相応答性や組織特異性も検討することができた。本研究により、新規の摂食による概日時計の位相調節因子同定へ向けた足がかりを得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

計画していたペプチドホルモンの一次スクリーニングを実施し、各試験区(臓器の種類×添加のタイミング(上昇位相・下降位相)×処理(コントロールおよびペプチド添加))につき2回ずつの試験を行うことができた。位相調節の方向性、位相応答性、組織特異性も検討することができ、候補として見込めるペプチドを見出すことができた一方で、客観的なデータとして示すには反復数が少ない。主な原因として実験に用いるマウスの繁殖の悪さが挙げられる。計画的に交配を進めていたものの、母親が産仔を食べてしまう食殺により思ったように数を増やすことができず、実験の実施が遅れることがあった。本年度中に試験と評価を十分に行い、次の研究段階であるin vivoでの機能評価実験の準備まで行う予定であったため、現在までの進捗状況はやや遅れているといえる。

Strategy for Future Research Activity

本年度実施したex vivo実験により作用が確認されたペプチドホルモンが生体内で想定通りの機能を果たすのか、マウス個体を用いたin vivoでの機能検証へと進める。具体的には、標的とするペプチドホルモンの阻害剤等をマウスに投与し、インビボイメージング装置を用いて概日時計の位相変化をマウスを生かしたままモニタリングする、阻害実験を行う予定である。インビボイメージングを使った阻害実験は、私たちの研究室で確立されているため、阻害剤が入手できれば速やかに着手することが可能である。また、標的のペプチドホルモンが分泌されないような遺伝子改変マウスを利用して、摂食による位相調節への影響をインビボイメージングにより確認する。これらの異なる手法による検証を行うことで因子と作用とを同定する。遺伝子改変マウスは購入や譲渡によって目的のものが得られない場合は作成することにしているが、その場合には時間がかかることが予想されるため、阻害実験と並行して早期に着手する。同定されれば、どのような受容体や細胞内の情報伝達経路を介して時計遺伝子発現リズムの位相調節に作用するのかまで検討を進め、摂食による概日時計位相調節機構の解明を目指す。

Causes of Carryover

実験材料の調達に遅れが生じ、実験の実施数が想定していたより少なくなったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、主に実験消耗品に繰り入れて使用する予定としている。

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Published: 2018-12-17  

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