2017 Fiscal Year Research-status Report
複数のマイクロRNA産生制御を介した新規癌治療法の開発を目指した基礎研究
Project/Area Number |
17K15601
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
樋口 琢磨 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (10754567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | microRNA / RNA結合タンパク質 / NF90 / NF45 |
Outline of Annual Research Achievements |
二本鎖RNA結合タンパク質NF90とその結合パートナーであるNF45の複合体(NF90-NF45)はmiRNAの初期転写産物 (primary-miRNA: pri-miRNA)に結合し、その生合成経路を負に制御する。NF90-NF45は複数種のpri-miRNAに結合するが、その結合能には選択性があり、特に癌抑制能を有するpri-miRNAに強く結合することが報告されている。しかしながら、NF90-NF45がpri-RNAのどのような配列・構造を認識しているのかは未だ不明な点が多い。本研究ではNF90-NF45が強く結合する配列的・構造的特徴を同定するとともに、同定された特徴を持つデコイRNAによるNF90-NF45のRNA結合能阻害試薬の開発を目的としている。 今回、国際共同研究により、NF90-NF45がmiR-3173の初期転写産物(pri-miR-3173)への結合を介してmiRNA産生制御因子Dicerの発現を調節することで、卵巣癌の進展に関与することを新たに見出した (Barbier et al., Cell Research, 2018)。 この結果を受け、これまでにNF90-NF45との結合が確認されているpri-miRNAの中で、癌抑制miRNAである let-7a、miR-7と癌促進的miRNAであるmiR-21に加え、新たに見出したmiR-3173に対するNF90-NF45の結合能をRNAゲルシフトアッセイで比較検討した。その結果、pri-let-7a > pri-miR-7 > pri-miR-3173 > pri-miR-21の順でNF90-NF45との結合能が強いことが明らかとなった。現在、上記pri-miRNA間の配列・構造の違いを解析すると共に、RIP-sequenceによるNF90-NF45と結合するRNAの網羅的解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2017年度にTARGET-tag融合NF90-NF45複合体を過剰発現させた培養細胞から免疫沈降法によりNF90-NF45複合体と結合するRNAを精製し、次世代シーケンサーを用いてNF90-NF45に結合するRNAの配列的・構造的特徴を網羅的に解析する予定であった。しかしながら国際共同研究を通して、卵巣癌の進展に関与するmiR-3173の生合成にNF90-NF45が関与する可能性が得られたため、先んじてNF90-NF45とpri-miR-3173の結合能の検証を実施した。その結果、NF90-NF45がpri-miR-3173に結合し、miR-3173の生合成を負に制御することを新たに見出した。一方で、NF90-NF45が結合するRNAの網羅的解析の実施に至らなかったため次年度(2018年度)に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、TARGET-tag融合NF90-NF45複合体を過剰発現させた培養細胞からNF90-NF45に結合するRNAを免疫沈降法で精製し、その配列を次世代シーケンサーにより網羅的に解析するRIP-sequenceを実施する。得られたNF90-NF45に結合するRNAのデータをもとに、共通する配列・構造を解析する。また2017年に、ChIP SeqやRNA Seqの結果を公開しているデータベース「ENCODE」にNF90と結合するRNAを解析したデータが追加された。このデータを実施予定の RIP-sequence の網羅的解析結果と合わせて、NF90-NF45が結合するRNAの配列的・構造的特徴を探索する。 さらに2017年度の解析結果より、pri-miR-3173とNF90-NF45が中程度の強さで結合する事を踏まえ、強く結合する pri-let-7a-1、pri-miR-7-1、結合性が非常に弱い pri-miR-21のRNA二次構造を比較し、NF90-NF45が結合するRNA構造を同定する。 NF90-NF45が結合する RNAの配列的・構造的特徴の候補が得られた場合、候補の特徴を有したRNAオリゴ(デコイRNA)を合成し、既知のpri-miRNAよりもNF90-NF45と強く結合するかをゲルシフトアッセイにより検証する。また、デコイRNAを培養細胞に導入することで、NF90-NF45が生合成制御に関与する癌抑制型miRNAの産生への影響をqRT-PCR法により検証する。 上記の解析を通して、デコイRNAによるNF90-NF45の機能阻害を介した 癌抑制miRNAの産生促進系の構築を試みる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] An NF90/NF110-mediated feedback amplification loop regulates dicer expression and controls ovarian carcinoma progression2018
Author(s)
Jerome Barbier, Xin Chen, Gabriel Sanchez, Muyan Cai, Marion Helsmoortel, Takuma Higuchi, Pierre Giraud, Xavier Contreras, Gangjun Yuan, Zihao Feng, Rima Nait-Saidi, Olivier Deas, Lisa Bluy, Jean-Gabriel Judde, Sylvie Rouquier, William Ritchie, Shuji Sakamoto, Dan Xie, Rosemary Kiernan
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Journal Title
Cell Research
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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