2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of vasculogenic mimicry in high-metastatic Lewis lung carcinoma
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17K15607
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高辻 英仁 (齋藤) 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40768959)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍血管 / 擬似血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに腫瘍血管をターゲットとしたがん抑制の戦略が提唱され、VEGFの機能を抑制する抗VEGF抗体抗がん剤等が開発されてきたが、血管新生抑制剤単独では抗腫瘍効果の見られないがんが多く存在する。本研究では、VEGF抗体抗がん剤抵抗能を獲得する分子メカニズムを明らかにする目的で、抗がん剤抵抗性の腫瘍のモデルとしてVEGFブロッカーであるVEGF-trapを安定発現するルイス肺がん細胞を作り出し、このがん細胞を用いて、VEGF-Trap存在下で増成した腫瘍と、その腫瘍内部に構築された宿主血管のそれぞれの遺伝子発現の変化に着目して研究を行った。血管のみでtdTomatoタンパク質を発現するマウス(VE-cadherin-Cre;floxed-Stop-tdTomato)を宿主に用い、GFPでラベルした腫瘍細胞を移植することで腫瘍と宿主血管を容易に判別できる系を構築し、フローサイトメーターでそれぞれの画分を分離してそれぞれの腫瘍細胞と血管内皮細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルを解析した。VEGF-Trap存在下で増成した腫瘍にはVEGFブロッカーが存在するにも関わらず多くの腫瘍血管が存在することを明らかにし、VEGF阻害剤抵抗性の腫瘍モデルとして利用可能であることを確かめた。その腫瘍内に誘導された腫瘍血管は当初の予想通り高転移性ルイス肺癌で見られた類洞様血管が構築されていた。また、VEGF阻害剤存在下の腫瘍から単離した血管内皮細胞はコントロールの腫瘍血管と異なる遺伝子発現パターンを示し、特に、リンパ管系遺伝子の発現が亢進していることを明らかにした。この結果は我々がこれまでに見出したルイス肺癌より樹立した悪性度の高い高転移性腫瘍でリンパ管系遺伝子の発現が高いという結果と一致していた。このことからVEGF抑制剤存在下では腫瘍血管内皮細胞はリンパ管様の形質を獲得すると考えられた。これらの結果はVEGFを標的とした抗がん剤抵抗性腫瘍の治療戦略の開発につながるものと期待される。
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