2017 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患治療への応用を目指した新規脳内糖化ステロールの分析基盤の開発
Project/Area Number |
17K15608
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
秋山 央子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究セ ンター, 研究員 (80623462)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖化ステロール / グルコシルセラミド分解酵素 / 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が発見した新規脳内糖化ステロール群に着目し、その代謝機構および生理機能を明らかにするための分析基盤を開発することである。申請者は最近、動物では1種類しか存在しないと考えられてきた糖化ステロールが、脳において一群を成して存在することを発見した。驚いたことに、一群の中にはこれまで未報告の新たな糖化ステロールが存在し、パーキンソン病モデル動物で発現量が変動している新奇物質も見つかった。また、糖化ステロール群の代謝をグルコシルセラミド分解酵素(GCase)が担う可能性が明らかになった。GCaseの機能不全は、パーキンソン病や小脳失調などの神経変性疾患の発症に関与する。本研究では、脳内糖化ステロール群に特化したターゲットリピドミクス解析系を開発し、糖化ステロール群の代謝機構および生理機能を解析することにより、糖化ステロール代謝が難治性神経変性疾患発症の新たな分子基盤となり得る可能性を検証する。 具体的には、GCaseに対する阻害剤ライブラリーを利用し、糖化ステロール群の代謝調節機構の解析システムを開発する。また、GCaseと糖化ステロール群の組織化学的局在解析システムを開発する。これらの解析システムを駆使し、GCaseが関与する神経疾患のモデルマウスの脳や患者剖検脳におけるGCaseと糖化ステロール群の発現変動を組織化学的に解析する。 平成29年度は、GCaseと糖化ステロール群の組織化学的局在解析システムの開発に着手し、野生型ならびにGCase機能不全マウスの脳の各部位における糖化ステロール群の発現量を解析した。その結果、糖化ステロール群の発現量は脳の部位ごと異なることが明らかになった。GCase機能不全マウスでは糖化ステロール群の発現量の変動が見られたが、脳の部位ごとに変動パターンが異なることは無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度終了時点で、GCaseと糖化ステロール群の組織化学的局在解析システムの開発に着手している。着手予定であった糖化ステロール群の代謝調節機構の解析システムの開発に着手できていないことから、研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に従って、引き続きGCaseと糖化ステロール群の組織化学的局在解析システムの開発を進めていき、糖化ステロール群の代謝調節機構の解析システムの開発に着手する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に着手予定であった糖化ステロール群の代謝調節機構の解析システムの開発に着手することができなかったため、使用する予定であった研究費が未使用となった。交付申請書に記載した研究実施計画に従い、平成29年度未使用分および平成30年度請求の研究費を用いて、GCaseと糖化ステロール群の組織化学的局在解析システムと、糖化ステロール群の代謝調節機構の解析システムの開発を進めていく。
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