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2017 Fiscal Year Research-status Report

Role of insulin receptor substrates in the progression of hepatocellular carcinoma

Research Project

Project/Area Number 17K15612
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

桜井 賛孝  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70748376)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywordsインスリン受容体基質 / 肝癌 / インスリンシグナル
Outline of Annual Research Achievements

【背景と目的】肝癌形成時のインスリン/IGFシグナルの役割は不明な点が多い。我々はインスリン/IGFシグナル上流に位置するインスリン受容体基質(Irs)1、Irs2に着目し肝癌での役割を解明することを目的とした。
【方法】15日齢の肝臓特異的Irs1欠損マウス(LIrs1KO)、肝臓特異的Irs2欠損マウス(LIrs2KO)にジエチルニトロサミン(DEN)を腹腔内注射により25mg/kg単回投与して肝癌を誘発し(10ヶ月)、表現型を解析した。また、野生型マウス初代培養肝細胞を用いてIrsの発現調節機構を検討した。【結果】肝癌ではIrs1の発現増加とインスリンシグナルの亢進を認めた。LIrs1KOではDENによる腫瘍形成が抑制され、また、腫瘍部でのAktやmTORの活性化が抑制され、増殖能も低下していた。遺伝子発現解析の結果、LIrs1KOの腫瘍部では炎症/浸潤に関連する遺伝子発現の低下やワールブルグ効果の減弱、脂質代謝の変化も認めた。一方、LIrs2KOでは対照群と同等の肝癌形成を認め、LIrs1KOの腫瘍部で見られた一連の変化を認めなかった。また、肝癌ではWnt経路の活性化を認めたが、マウス初代培養肝細胞においてWnt3a刺激によりIrs1の発現は増加した。この変化はDN-TCF4で抑制され、肝においてもIrs1がWnt経路で制御されていた。さらに、Wnt3a刺激で発現増加したIrs1はインスリン刺激時のAktのリン酸化亢進に関与していることが示唆された。
【結論】肝癌形成時にWnt経路の亢進により発現増加したIrs1はインスリンシグナルの活性化に関与し、肝癌進展において重要な役割を担うと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

高血糖や脂肪肝は肝癌の増悪因子であることが報告されているが、LIrs1KO、LIrs2KOマウスは通常食下では脂肪肝を伴わず、正常耐糖能に近いことが先行研究や本研究で明らかになっている。したがって、今回、LIrs1KO、LIrs2KOマウスにDENで肝癌を誘発し、通常食下で観察することにより、高血糖や脂肪肝などの肝癌発症における交絡因子を除外した状態でインスリンシグナル関連分子であるIrs1、Irs2の肝癌形成における役割を評価でき、結果として、Irs2ではなくIrs1が肝癌形成に重要であることがin vivoで明らかになった。
また、肝癌ではWnt関連分子の体細胞変異によりWnt経路が活性化されていることが知られているが、近年、筋肉などの臓器でWnt経路がIrs1を発現調節しているという報告がある。実際に本研究におけるDENによる肝癌でもWnt経路が活性化していることが確認された。そこで、野生型マウスの初代培養肝細胞をrecombinant Wnt3aで刺激したところ、Irs2は変化がなかったが、Irs1は遺伝子・蛋白レベルで有意に発現増加した。この現象はdominant-negativeなTCF4(DN-TCF4)(N末の30アミノ酸を欠失させ、βカテニンとの結合ができなくなり標的遺伝子のDNAに結合するが転写活性化能を有さない)のトランスフェクションで抑制されたため、Wnt3a刺激がTCF4を介した経路でIrs1を制御していると考えられた。さらに、Wnt3a刺激で発現増加したIrs1はインスリン刺激時のAktのリン酸化亢進に関与していることが示唆された。
以上の検討から、肝癌形成時にWnt経路の亢進により発現増加したIrs1はインスリンシグナルの活性化に関与し、肝癌進展において重要な役割を担うと考えられた。

Strategy for Future Research Activity

各種細胞株を用いてIrs1、Irs2のノックダウンや過剰発現を組み合わせることで、細胞増殖やインスリン・IGF1シグナル伝達におけるIrs1、Irs2の役割を評価し、Irs2欠損ではなくIrs1欠損で見られた肝癌形成抑制効果が、肝癌形成時のIrs1、Irs2の発現量の違いのみに起因しているのかどうかということを明らかにする。
また、LIrs1KO、LIrs2KOマウスに関して、DEN投与早期における変化(肝障害、反応性細胞増殖、アポトーシスなど)を評価することで、化学発癌モデルでのイニシエーション、プロモーション時におけるIrs1、Irs2の役割を明確にする。
Irs1が欠損した肝癌に見られた糖脂質代謝の変化に関して、マイクロアレイ解析も含めた網羅的解析などを詳細に行い、Irs1を介したシグナルが肝癌形成時の糖脂質代謝の変化に、どのように関与しているかを明らかにする。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Role of insulin receptor substrates in the progression of hepatocellular carcinoma2017

    • Author(s)
      Sakurai Yoshitaka、Kubota Naoto、Takamoto Iseki、Obata Atsushi、Iwamoto Masahiko、Hayashi Takanori、Aihara Masakazu、Kubota Tetsuya、Nishihara Hiroshi、Kadowaki Takashi
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 7 Pages: 5387

    • DOI

      10.1038/s41598-017-03299-3

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Dual Regulation of Gluconeogenesis by Insulin and Glucose in the Proximal Tubules of the Kidney2017

    • Author(s)
      Sasaki Motohiro、Sasako Takayoshi、Kubota Naoto、Sakurai Yoshitaka、Takamoto Iseki、Kubota Tetsuya、Inagi Reiko、Seki George、Goto Moritaka、Ueki Kohjiro、Nangaku Masaomi、Jomori Takahito、Kadowaki Takashi
    • Journal Title

      Diabetes

      Volume: 66 Pages: 2339~2350

    • DOI

      10.2337/db16-1602

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 肝癌におけるインスリン受容体基質(Irs)の役割2017

    • Author(s)
      桜井賛孝、窪田直人、高本偉碩、門脇孝
    • Organizer
      第90回 日本内分泌学会学術総会
  • [Presentation] Role of insulin receptor substrates in the progression of hepatocellular carcinoma2017

    • Author(s)
      桜井賛孝、窪田直人、高本偉碩、門脇孝
    • Organizer
      第38回 日本肥満学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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