2018 Fiscal Year Research-status Report
Novel mechanism of post-transcriptional regulation of PD-L1 through 3'-UTR.
Project/Area Number |
17K15616
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
木暮 泰寛 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40782389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PD-L1 / 3'-UTR / 転写後調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な腫瘍において、PD-L1 3'-UTRの短縮・喪失する例が見出され、それらの異常によりPD-L1 mRNAの安定性が高まりタンパク発現も亢進することが明らかになっている(Kataoka et al. Nature 2016)。そこで、RNA結合タンパク(RBP)による転写後調節に着目してPD-L1高発現の機序について検討した。 これまで実施したPD-L1 3'-UTR配列を約500 bpずつ5つのセグメントに分割したdeletion mutantを用いたレポーターアッセイにより、どのセグメントが転写後調節に重要であるか明らかにした。また、これらの3'-UTRを分割したセグメントそれぞれに対し結合するRBPを、mass spectrometryで網羅的に解析するiSRIM法を実施した。iSRIM法の結果より、PD-L1 3'-UTRの各セグメント及びハウスキーピング遺伝子であるβ-actinの3'-UTRに結合するRBPを比較することで、iSRIM法によってRBPが濃縮されていることを確認した。また、これらのPD-L1 3'-UTR特異的なRBP遺伝子のGene ontology(GO)解析を行うと、RNA結合のGOがエンリッチするだけでなく、最も3’-端に位置する第5セグメントに特徴的にmRNA 3'結合のGOがエンリッチすることも判明し、このこともRBPを正しく評価できていることを示唆した。これらのRBPのうち、PD-L1 3'-UTRの転写制御に関与している可能性が高い候補RBPを抽出した。 候補タンパクのPD-L1発現量に対する寄与を評価するため、siRNAを用いたRBPのノックダウン実験を行い、PD-L1の発現量上昇をRQ-PCRにて評価し、候補の遺伝子を更に絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、iSRIM法で得られたデータの妥当性を検討することとした。そのために、PD-L1 3'-UTRの各セグメント及びハウスキーピング遺伝子であるβ-actinの3'-UTRに結合するRBPを比較した。まず、PD-L1の各セグメントに非特異的に結合するRBPは、β-actinの3'-UTRにも結合することが明らかになった。すなわち、これらのRBPは多くの遺伝子に対して非特異的に結合ことが示唆された。一方で、PD-L1 3'-UTRの第2・第5セグメントのみに特異的に結合するRBPは、β-actinの3'-UTRには結合しなかった。また、これらの特異的結合遺伝子のGO解析を行うと、RNA結合のGOがエンリッチすることも明らかになった。特に、最も3’-端に位置する第5セグメントに結合するRBPにはmRNA 3'結合のGOがエンリッチすることも判明した。このことにより、iSRIM法で同定された遺伝子の多くがRBPであることを確認した。また、PD-L1の各セグメント特異的に結合するRBPはPD-L1の転写後制御をspecificに制御している可能性が示唆された。 これらの候補RBPの機能を確かめるために、siRNAと293T細胞株を用いて、候補遺伝子について網羅的にRQ-PCRにて評価することとした。各候補遺伝子のノックダウンにより、PD-L1のmRNA発現量は上がるものもあれば下がるものもあり、RBPによる転写後調節の存在を示唆した。また、スクリーニングの結果として、PD-L1のmRNAを負に制御しているRBPの候補を更に抽出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
候補RBPを異なる系により吟味するため、siRNAによるノックダウンの他に、細胞株にてCRISPR/Cas9システムによる候補RBPのノックアウトを行ってPD-L1の発現量に与える影響を評価する。その後、RNA免疫沈降法やlocked nucleic acid (LNA)など、PD-L1 3'-UTRのmRNAと候補RBPとの相互作用を評価する。また、マウス移植モデルを用いて生体内でのRBPのPD-L1制御作用および免疫微小環境に与える影響を評価する。
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