2017 Fiscal Year Research-status Report
CLDN18転座胃癌の浸潤・転移機構の解明と治療標的候補の探索
Project/Area Number |
17K15636
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 淳 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80779687)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | びまん型胃癌 / CLDN18転座 / RHOA変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌は組織学的に腸型とびまん型に大別され、近年の網羅的遺伝子変異解析により、RHOA変異及びCLDN18転座がびまん型胃癌に特徴的に集積していることが示された。この研究に先立ち、我々はびまん型胃癌におけるRHOA変異及びCLDN18転座の臨床病理学的特徴について検討し、CLDN18転座胃癌が特に高浸潤能、転移能を示すことを明らかにした。びまん型胃癌では腸型と比較し、トラスツズマブなどの分子標的薬が標的とするチロシンキナーゼ関連の遺伝子異常は低頻度で、有効な治療法に乏しく、また癌腫が広く浸潤する特徴を有し、外科切除を行うも非治癒切除とる例が一定数あり、予後不良である。このような背景から、びまん型に特徴的にみられるRHOA変異、CLDN18転座は新規治療標的経路として重要であり、以下の解析を実施した。びまん型胃癌凍結検体(癌部、非癌部)を用いた網羅的遺伝子発現解析結果(RNA-seq data)から、癌部で著明に発現亢進あるいは抑制されている遺伝子群を抽出し、Gene ontology consortium等のwebtoolを用い、CLDN18転座群に有意にみられる経路を複数同定した。またcBioportalからTCGAデータセットをダウンロードし、同様の解析を実施し、我々のデータと比較し、一致する遺伝子群、経路を同定した。同定した遺伝子群の中には、多数の癌腫で浸潤や転移に関連すると報告されている遺伝子が複数含まれていた。これらの遺伝子については、ホルマリン固定組織標本用いた免疫組織化学染色による腫瘍細胞特異的発現異常の確認と、腫瘍径やリンパ節転移などの臨床病理学的因子との相関についての解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
びまん型胃癌の網羅的遺伝子発現結果の解析とTCGAデータセットを用いた遺伝子発現解析から、CLDN18転座に特徴的な遺伝子発現、シグナル経路の抽出を終了し、これら遺伝子・経路ののvalidation study及び詳細解析に進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、発現解析で同定した遺伝子群、シグナル経路のうち重要と考えられるものについて、ホルマリン固定組織標本及び免疫組織化学法を用いてvalidationを行いつつ、臨床病理学的因子との相関の検討、in vitroでの検討を適宜実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
物品費は予定よりやや多くかかったが、人件費・謝金、その他項目については当初予定より安価であっため、全体として繰越金が生じた。
|
Research Products
(1 results)