2017 Fiscal Year Research-status Report
3次元培養を用いた肺癌の発生・浸潤における癌間質の役割及び機能解析
Project/Area Number |
17K15638
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 茂樹 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (30707021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺癌 / 間質 / 3次元培養 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3次元培養を用いた肺癌間質における浸潤の評価の前段階として、以下の検討を行った。 CellFeuille(住友ベークライト)を使用し、肺癌細胞株及び肺線維芽細胞を用いて、3次元培養の条件検討を行った。細胞株の組み合わせによる変化や、細胞層の厚さ(細胞量)や多層作成時のマトリゲルの調整、種類について最適化を行った。 免疫組織化学検討では、サイトケラチン (AE1/AE3)やVimentin等の数種類の抗体で染色可能であることが確認された。microRNAに対する in situ hybridization (ISH)に関しては、発現量の多いとされるmiR-21での検討を行ったが、染色性が弱く、引き続き検討が必要である. 細胞株での検討とは別に2005~2008 年の東京大学医学部付属病院での肺癌手術例のホルマリン固定パラフィン包埋材料 (FFPE)を用いて、間質の線維化の量や種類についての検討を施行した。検討は腺癌を中心に90例について行い、肺癌での既報に加えて大腸癌、乳癌等の他臓器の既報で検討されているものも含めて、modified scar grade(Grade1~4)や中心瘢痕の径、内部の腫瘍細胞浸潤、浸潤径、浸潤部の面積などについて評価を行った。浸潤径及び浸潤部の面積については、既報と同様に予後との相関が認められた。 手術症例に関しては,tissue micro array(TMA) がすでに構築されているものが多く,比較的全体の染色性が同様の蛋白やmicroRNA ISH などに関しては,効率化及び費用の点からもTMA の利用を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
microRNAに対する ISHの条件検討等について、3次元培養から作成した標本では染色性の確認ができておらず、引き続き検討する必要があり、やや進行が遅れている。今後、tissue micro array(TMA)の利用等も行い、当初の予定通りの進行を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 引き続き、3次元培養についての条件検討及びmicroRNA に対するISHの条件検討を継続する。 2. 2次元培養でCAF関連蛋白及びmicro RNAの強制発現や発現抑制を行い、増殖能や浸潤能の観察を行う。また、CAF関連蛋白、TGF-β、MMPなどの浸潤・増殖に関係する因子及びmicro RNAについてのRNA、タンパクレベルでの変動を観察する。 3. 強制発現、発現抑制を行った細胞株を用いた3次元培養を行い、標本を作製する。浸潤の有無や細胞株の形態的変化、IHCなどでの各因子の発現、局在を観察する。 4. 肺癌手術症例のFFPE標本での検討についても継続する。症例数の増加、各因子の発現確認を行う。適宜TMAを利用することで、作業時間の短縮を図る予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は手術材料でのFFPE検体での検討が多く、in situ hybridization等での検討はあったが、費用の比較的多くかかる細胞株での強制発現系・発現抑制系等での検討が少なかったためと考えられる。 次年度使用分は、3次元培養の条件検討及びmicroRNA ISHに対する条件検討、加えて細胞株での強制発現系・発現抑制系等での分子病理学的な検討で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)