2017 Fiscal Year Research-status Report
新規pericyte特異的マーカーMyosin 1Bの病理学への応用
Project/Area Number |
17K15643
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
目黒 史織 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40724290)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | pericyte / 血管平滑筋細胞 / perivascular tumor / myosin 1B |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究(平成26-28年度科研費)から、我々は、新規pericyteマーカーとして同定したmyosin1B(MYO1B)と平滑筋マーカーであるh-CDを組み合わせることで、ホルマリン固定パラフィン包埋ヒト皮膚組織材料の血管壁細胞はMYO1B+h-CD-であるpericyte、MYO1B-h-CD+である血管平滑筋細胞、MYO1B+h-CD+である両者の中間的な血管壁細胞に分類できることを見出した。 次に、ヒト皮膚の血管周囲性腫瘍54例(血管平滑筋腫 28例、グロームス腫瘍 23例、筋周皮腫 3例)における腫瘍細胞の周皮細胞への分化を検討した。MYO1Bとh-CDの免疫染色を行い各々の成分を半定量的に評価した。その結果、血管平滑筋腫は血管平滑筋細胞の特徴を有していること(MYO1B-h-CD+)、グロームス腫瘍はpericyteとvSMCsの中間の特徴を有する細胞(MYO1B+h-CD+)から主に構成されていること、筋周皮腫の中には形態学的に血管平滑筋腫と鑑別が難しいものが存在するが、免疫組織化学的にも血管平滑筋腫に近い特徴を有するものが存在することを見出した。PericyteすなわちMYO1B+h-CD-の細胞のみから構成される腫瘍は54例中には認められなかった。 また、鼻領域にはperivascular myoid phenotypeを示すsinonasal glomangiopericytomaと呼ばれる腫瘍がある。浜松医科大学医学部附属病院の手術材料1例で免疫組織化学的検討を行ったところ、h-CDは全体的に陰性で、かつα-SMA 陽性、MYO1B陽性の領域がみられ、この腫瘍がpericyteの特徴を有する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MYO1B+h-CD-の細胞のみから構成される真のpericyte腫瘍が存在するのか検討を行うことにした。浜松医科大学医学部附属病院の皮下腫瘍および軟部腫瘍の手術材料をreviewし、HE染色の組織像のみでは病理診断が困難である症例を抽出した。Pericyteを含む血管壁細胞はα-SMAを発現しているため、抽出した症例に対しα-SMAの免疫染色を行い、陽性例を拾い上げた。今後はこれらの症例に対しMYO1Bおよびh-CDの免疫染色を行い、MYO1B+h-CD-の細胞のみから構成される腫瘍が存在するのか検討する予定である。 鼻のsinonasal glomangiopericytomaに関しては、稀な腫瘍のため症例を収集している段階である。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
MYO1B+h-CD-の細胞のみから構成される真のpericyte腫瘍の検討に関しては、これまでに抽出した皮下腫瘍および軟部腫瘍の症例に対し、MYO1Bおよびh-CDの免疫染色を行い、MYO1B+h-CD-の細胞のみから構成される腫瘍が存在するのか検討する予定である。 鼻のsinonasal glomangiopericytomaに関しては、稀な腫瘍のため症例を収集している段階であるが、症例が集まればMYO1Bやh-CDなどの免疫染色を行い、sinonasal glomangiopericytomaの免疫組織化学的な特徴を明らかにする予定である。
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