2018 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetic regulation of iron trafficking in glioblastoma
Project/Area Number |
17K15672
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
増井 憲太 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60747682)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / mTORC2 / 中心炭素代謝 / 鉄代謝 / エピジェネティクス / ヒストンアセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトの腫瘍の中でも最も悪性度が高い脳腫瘍である膠芽腫 (グリオブラストーマ) において、以前よりがんにおいて重要と考えられてきた鉄代謝の制御機構を明らかにしようとするものである。特に、われわれがこれまでに一貫して研究してきた、EGFR-mTORC2経路との関連に着目することで解明を試みる。本研究により、未だ有効な治療法の少ない膠芽腫の治療開発につながりうる、新たな病態を見出すことを最終的な目的としている。 前年度までの研究により、膠芽腫において、鉄代謝関連分子の発現がmTORC2により制御されることを明らかとし、その機序がエピジェネティクス (ヒストンアセチル化) を介した制御であることを証明した。本年度は、mTORC2の抑制により、鉄代謝関連分子の発現のみならず、実際の鉄代謝 (鉄の取り込みおよびトランスフェリンの排出) に有意な変化がみられることを明らかとした。また、mTORC2により制御される鉄代謝が、腫瘍細胞の増殖を促進することを見出し、これらのmTORC2経路または鉄代謝経路に介入することで、腫瘍の増殖が抑制されることが分かった。さらには、これらの結果を、実際のヒト膠芽腫組織や、xenograftおよびウイルス誘発性脳腫瘍モデルでも確認し、治療応用へとつながるデータを得ることができた (論文投稿中)。 これらは、悪性脳腫瘍において、われわれが着目するmTORC2シグナルが鉄代謝を制御すると同時に、がんにおける微量元素代謝がエピジェネティック (ヒストンアセチル化) に制御される可能性を示す新規知見である。また、将来的な治療戦略を考える際に、膠芽腫におけるmTORC2経路や鉄代謝に介入する必要性も提起する。
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