2018 Fiscal Year Research-status Report
マラリア原虫におけるrho0細胞を用いた人工ミトコンドリアDNAの導入
Project/Area Number |
17K15676
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
彦坂 健児 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456933)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / ミトコンドリアゲノム / rho0細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫のミトコンドリアは、3つのタンパク質遺伝子(cox1, cox3, cob)および高度に断片化された大サブユニット/小サブユニットリボソームRNA(rRNA)のみが存在するミトコンドリア(mt)DNAをもつ。このmtDNAの機能性については未解明な部分が多いが組換え技術が確立されていないため、解析が進んでいない。本研究課題では、1) mtDNAを欠損したマラリア原虫rho0細胞を作出し、2) 人工的に作製したmtDNAを導入する、ことによりマラリア原虫mtDNAの機能性の解明を目指している。 本年度は、1)の小課題に対し、初年度の実験結果を踏まえ、組換えの標的遺伝子および原虫種(Plasmodium berghei、Plasmodium yoelii、Plasmodium chabaudi)の検討を行った。その結果、P. bergheiのゲノムのAP2-G領域を標的とした酵母DHODH遺伝子(yDHODH)の導入に成功した。また、yDHODHが機能しているかどうか確認するために、組換え原虫をマウスに感染させ、抗マラリア原虫薬であるアトバコンの投与実験を行った。その結果、野生型のP. bergheiと比較して、アトバコンへの感受性が低いことが示唆された。現在、この組換え原虫株を用いて、アトバコン投与量の検討を行っている。これに加え、ヒト熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のin vitro培養系を起ちあげ、マウスマラリア原虫と同様のyDHODH組換え方法について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
yDHODH組換え原虫作製の原虫種の検討において、P. berghei以外の原虫種においては目的とした組換え原虫が得られなかった。この要因の一つとして、使用したベクターと原虫種の組み合わせに問題があったことが考えられた。また、ヒト熱帯熱マラリア原虫のin vitro培養の起ちあげのセットアップに当初計画した以上に時間を要したため、標記の進捗状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にアトバコンに感受性の低い組換えマウスマラリア原虫株が得られたので、これを用いたrho0細胞株の樹立を目指す。具体的にはmtDNAを消失させるためのエチジウムブロマイド(EtBr)の濃度および暴露時間を、in vitro培養において検討する。mtDNAが消失しているかどうかは、EtBr処理後の原虫をマウスに感染させ、mtDNAを標的としたPCRによって確認する。また、論文報告に従い、アトバコン耐性をもつヒト熱帯熱マラリア原虫の作製を行う。次に、マウスマラリア原虫と同様にEtBrを用いた実験によってmtDNA欠損原虫を作製する。それぞれの原虫種でrho0細胞株を確立した後は、人工的に変異を挿入したマラリア原虫mtDNAを作製し、遺伝子銃によるミトコンドリアへの挿入の検討を行う。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] The complete mitochondrial genome of Sarcoptes scabiei var. nyctereutis from the Japanese raccoon dog: Prediction and detection of two transfer RNAs (tRNA-A and tRNA-Y)2018
Author(s)
Ueda T, Tarui H, Kido N, Imaizumi K, Hikosaka K, Abe T, Minegishi D, Tada Y, Nakagawa M, Tanaka S, Omiya T, Morikaku K, Kawahara M, Kikuchi-Ueda T, Akuta T, Ono Y
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Journal Title
Genomics
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed