2017 Fiscal Year Research-status Report
トキソプラズマ脳炎におけるアストロサイトの感染防御機構の解明
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17K15680
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
飛彈野 真也 大分大学, 医学部, 助教 (80516386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アストロサイト / トキソプラズマ / TRAF6 |
Outline of Annual Research Achievements |
トキソプラズマ原虫は、胎児や新生児、免疫抑制状態にあるAIDS患者などに脳症を始めとするトキソプラズマ症を引き起こす細胞内寄生原虫である。近年、グリア細胞であるアストロサイトがトキソプラズマ脳炎を含む脳内感染症の防御機構に関与することがわかってきた。そこで、TNF受容体スーパーファミリーであるCD40やToll like receptor (TLR)シグナルによる刺激により抗トキソプラズマ活性をアストロサイトに誘導することで、完全に虫体を排除することができるのではないかと考えた。本申請では、トキソプラズマ慢性感染時におけるアストロサイトのCD40やTLRシグナルが合流するTRAF6による抗トキソプラズマ活性を検証し、その作用機序を明らかすることを目的とした。 初年度は、本研究で使用するためのアストロサイト特異的にTRAF6を欠損するGFAP-Cre TRAF6floxマウスの作製を行った。はじめに、九州大学、津田誠教授より受精卵を供与していただき個体作製を行った。しかし、受精卵の保存状態が悪かった、あるいは融解がうまくいかなかったため個体作製することができなかった。そこで、GFAP-Creマウス個体を当大学へ供与していただき、体外受精法によりGFAP-Creマウスの生体を得ることに成功した。 また、樹状細胞でTRAF6を欠損するCD11c-Cre TRAF6floxマウスを用いて解析を行った。トキソプラズマを感染させたCD11c-Cre TRAF6floxマウスは、感染後10日目の感染初期に死亡しトキソプラズマに対して高感受性であることが明らかになった。各組織中のトキソプラズマDNA量をPCR法で調べたところ、CD11c-Cre TRAF6floxマウスでは野生型に比べて肺、脾臓、肝臓で有意に増加していた。また、感染7日目の血清中のIL-12産生は野生型に比べて低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、本研究で使用するためのGFAP-Cre TRAF6floxマウスの作製を行った。体外受精法によりGFAP-Creマウスの生体を得ることに成功した。現在、既に本学で維持されているTRAF6floxマウスと交配を開始し、GFAP-Cre TRAF6floxマウスを作製する段階まで進展することができた。また、予備的な実験として樹状細胞でTRAF6を欠損するCD11c-Cre TRAF6floxマウスにトキソプラズマを感染させると感染初期に死亡し、トキソプラズマに対して高感受性であることが明らかになり、その死亡原因の一つとして樹状細胞におけるIL-12産生が低下したことにより、トキソプラズマの増殖が抑えられなくなったことによるものと考えられた。この結果から、感染初期の解析を行うには、CD11c-Cre TRAF6floxマウスを使用することは適しているが、慢性感染時の機能を解析するのには不向きであり、次年度ではGFAP-Cre TRAF6floxマウスを用いてアストロサイトにおけるTRAF6の機能について解析を行う必要性が高まった。
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Strategy for Future Research Activity |
●アストロサイト特異的TRAF6欠損マウスを用いたトキソプラズマ脳炎の病態解明 TRAF6が個体レベルでの脳炎の発症に重要なのかどうか明らかにするために、 GFAP-Cre TRAF6floxマウスの作製を行った。今後、GFAP-Cre TRAF6floxマウスにトキソプラズマ原虫を感染させ、トキソプラズマ脳炎の病態が増悪化するのかどうか解析する。具体的には、脳炎の評価を、①感染マウスの体重変化、②生存率ならびに③トキソプラズマ感染率を指標に解析する。トキソプラズマ感染率は、抗体による染色と原虫DNA量によって評価する。さらに、脳内へ浸潤した免疫細胞の活性化について、IFN-gの発現を指標にフローサイトメトリーで解析し明らかにする。 ●CD40シグナルならびにTLRシグナルによる抗トキソプラズマ活性に関わる新規候補遺伝子の探索 抗CD40抗体あるいはTLRリガンドでの刺激による抗トキソプラズマ活性を誘導する新規標的遺伝子の探索をマイクロアレイ解析により解析する。特に、TRAF6依存的な抗トキソプラズマ活性を誘導できる新規候補遺伝子に着目し、その遺伝子を過剰発現させた変異細胞株や、CRISPR/Cas9システムで欠損させた変異細胞株の作製を行い、候補遺伝子が CD40、TLRシグナルの抗トキソプラズマ活性に関与するか明らかにする。遺伝子変異細胞株の作製はこれまで報告されているアストロサイト(グリオーマ)細胞株を用いて作製する。CD40、TLRシグナルの抗トキソプラズマ活性に関与する候補遺伝子が得られたら遺伝子変異マウスを作製し、トキソプラズマ脳炎の病態を解析する。当講座では、CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子変異マウスの作製が行われており、遺伝子変異マウスを作製する準備は整っている。
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Causes of Carryover |
抗トキソプラズマ活性に関わる遺伝子を探索するために、新生児由来プライマリーアストロサイトを用いてCD40、TLR刺激による遺伝子の発現変化についてマイクロアレイ解析を行う計画だったが、本年度に行うことができなかったため未使用額が生じた。未使用額は次年度に上記研究を行うための経費に充てることとしたい。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Development of intestinal M cells and follicle-associated epithelium is regulated by TRAF6-mediated NF-κB signaling.2018
Author(s)
Kanaya T, Sakakibara S, Jinnohara T, Hachisuka M, Tachibana N, Hidano S, Kobayashi T, Kimura S, Iwanaga T, Nakagawa T, Katsuno T, Kato N, Akiyama T, Sato T, Williams IR, Ohno H.
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Journal Title
J Exp Med.
Volume: 5;215(2)
Pages: 501-519
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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