2017 Fiscal Year Research-status Report
H. suis感染胃MALTリンパ腫形成に関わるCXCL13発現メカニズムの解明
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17K15684
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 幸司 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (70608322)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | H. suis / 胃MALTリンパ腫 / IFN-γ / CXCL13 / 濾胞樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Helicobacter suis (H. suis)は、グラム陰性細菌で、ヒトを含む多くの動物種の胃に感染し、人畜共通感染症の原因菌として想定されている。この菌をマウスに経口感染させると、その100%の確率で胃にMALTリンパ腫を発症することが知られている。しかしながら、これまでにH. suis感染後に誘導される胃MALTリンパ腫の詳細な形成メカニズムは明らかにされていない。 近年、申請者は、H. suisをマウス胃粘膜に感染すると、胃粘膜B細胞から産生されるIFN-γが胃MALTリンパ腫形成に関連していること、また、感染胃粘膜では、B細胞の走化性に関与するケモカインCXCL13が高発現しており、抗CXCL13抗体を用いたH. suis感染マウスへの投与は、胃MALTリンパ腫発症を有意に抑制させることが明らかとなっている。これにより、H. suis感染後に誘導されるIFN-γ、ならびに、CXCL13の発現上昇が胃MALTリンパ腫を発症させる重要な遺伝子であると考えられる。 本申請では、IFN-γの刺激による濾胞樹上細胞からのCXCL13産生を介したH. suis感染後の胃MALTリンパ腫発症との関連性を評価するために、H. suis 感染CXCL13欠損マウスに精製した濾胞樹上細胞を移入する。その後、組換えIFN-γをマウスに投与し、感染後の胃MALTリンパ腫形成を評価する。また、IFN-γ刺激後の濾胞樹上細胞から産生せれるCXCL13を評価するために、組換えIFN-γを用いてマウスから精製した濾胞樹状細胞に刺激させ、CXCL13産生をin vitroで評価する。さらに、IFN-γ刺激後の濾胞樹状細胞から誘導されるCXCL13産生の分子メカニズムを詳細に検討するために、組換えIFN-γを用いてた細胞刺激実験を行い、その産生機序を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は以下の項目について検証を行った。1) H. suis感染後の胃MALTリンパ腫形成と濾胞樹上細胞(FDCs)から産生されるCXCL13との役割 CXCL13欠損マウスにH. suisを経口感染させ、さらに、野生型マウス由来FDCsをフローサイトメトリーを用いて精製し、H. suis感染CXCL13欠損マウスに移入した。その後、感染2週間後に組換えIFN-γ をマウスに投与し、感染マウスにおける胃MALTリンパ腫形成を評価する予定する。本研究に使用予定であったCXCL13欠損マウスの作成に時間がかかってしまい現在進行中である。 2) H. suis 感染胃粘膜に浸潤した細胞上の遺伝子発現解析 H. suis感染マウスの胃を摘出し、酵素処理後、感染胃粘膜に浸潤した各々の細胞上IFNGRの発現をフローサイトメトリーにて評価した。結果、感染胃粘膜に浸潤しているB細胞、T細胞、DCs、ならびに、FDCsにおいてFDCs上で高いIFNGRの発現が認められた。 3)IFN-γの刺激によるFDCsからのCXCL13産生メカニズム 野生型マウス脾臓を摘出し、B細胞、T細胞、DCs、ならびに、FDCsをセルソーターで精製した。精製後の細胞を培養皿にまき、コントロール群、組換えIFN-γ、抗IFNGR抗体処理群、ならびに、組換えIFN-γと抗IFNGR抗体処理群で刺激実験を行い、刺激細胞のCXCL13を定量的PCR法で、さらに、培養上清中に産生されるCXCL13をELISA法で検出した。結果、組換えIFN-γの刺激により、FDCsからCXCL13が産生されることを明らかにした。今年度予定していた上記1)の実験が期間内に終了できなかったが、次年度予定していた3)の実験を行い、予想通りの結果が得られたことから、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は以下の項目について検証を行う。 1) H. suis感染後の胃MALTリンパ腫形成と濾胞樹上細胞(FDCs)から産生されるCXCL13との役割について検証する。 方法:CXCL13欠損マウスH. suisを経口感染させ、さらに、野生型マウス由来FDCsをフローサイトメトリーを用いて精製し、H. suis感染CXCL13欠損マウスに移入した。その後、感染2週間後に組換えIFN-γ をマウスに投与し、感染マウスにおける胃MALTリンパ腫形成を評価する予定である。 2)IFN-γ刺激後のFDCsから産生されるCXCL13の分子メカニズムの解明を行う。 方法:野生型マウス脾臓を摘出し、0.83%の塩化アンモニウムを用いて赤血球を除去する。その後、B細胞特異的抗体、T細胞特異的抗体 、樹上細胞特異的抗体 、ならびに、FDCs特異的抗体を用いてセルソーターで細胞の精製を行う。精製後、1×106個の各々の細胞を培養皿にまき、コントロール群、組換えIFN-γ (1μg/ml)、抗IFNGR抗体(10μg/ml)処理群、ならびに、組換えIFN-γ (1μg/ml)と抗IFNGR抗体(10μg/ml)処理群で1時間、ならびに、24時間で処理しタンパク質を抽出する。その後、CXCL13の産生に関連する転写因子IκB-α、ならびに、NF-κB2の活性化を評価する。 今後、H. suis感染における胃MALTリンパ腫形成メカニズムの詳細を明らかにし、学会発表、ならびに、論文発表にて成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度に購入予定であった試薬が輸入扱いになり、今年度中に試薬の確保ができなかったため。
(使用計画)H. suis感染後の胃MALTリンパ腫形成と濾胞樹上細胞から産生されるCXCL13との役割を明らかにするための実験に使用予定である。
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Research Products
(2 results)