2017 Fiscal Year Research-status Report
Single cell bottleneck in the pneumococcal transmission between host and host
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17K15690
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
河野 正充 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 伝播 / 自然免疫 / ボトルネック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの肺炎球菌の病態解明は鼻咽腔における保菌の成立から感染症発症の過程に重点が置かれてきた。我々は肺炎球菌の保菌が成立するためは保菌者から新たな宿主へ伝播することが必要であることに着目し、仔マウスを用いた兄弟間における宿主間伝播モデルを確立した。これまでの研究においてインフルエンザウィルスの重感染により肺炎球菌の兄弟間伝播が著明に促進されるとともに、伝播の過程において肺炎球菌は強いボトルネック効果を受けることを見出した。 本研究において、肺炎球菌の宿主間伝播におけるボトルネック効果を調節する重要な因子であると考えられている鼻腔から体外への排菌量と宿主自然免疫との関連をToll-like receptor(TLR)を中心に検討した。まず肺炎球菌の鼻咽腔保菌が成立した仔マウスに各種TLRアゴニスト(TLR2:Pam3CSK、TLR3:poly(I:C)、TLR4:LPS、TLR7/8:R848、TLR9:CpG ODN)を連日経鼻接種して、排菌量の経時的な変化を検討した。肺炎球菌の菌体成分を主に認識すると考えられているTLR2およびTLR4による刺激では、鼻咽腔の保菌量や排菌量は変化しないか有意な減少傾向を認めた。一方で、病原微生物の核酸成分を認識するTLR3、TLR7/8およびTLR9の刺激では鼻咽腔の保菌量に有意な変化はなく、排菌量の増加を認めた。とりわけpoly(I:C)による刺激では鼻咽腔に好中球の遊走を主体とした炎症反応が惹起された。 現在これらの自然免疫応答が肺炎球菌の宿主間伝播に及ぼす影響を検討するために、各種TLRノックアウトマウスを導入し、兄弟間における伝播率の変化を観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種TLRノックアウトマウスの導入における手続きと、凍結胚よりマウスを実験可能な状態にセットアップするための時間が予定以上にかかってしまったため、平成30年度に完了予定であったノックアウトマウスを用いた伝播実験の実施において遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に予定しているTLRノックアウトマウスを用いた宿主間伝播の実験を予定通り遂行する。実験で使用する予定のTLR3、TLR7、TLR9ノックアウトマウス、およびエンドソームに存在するTLRのシグナリングに必須の蛋白であるUnc93b1のノックアウトマウスは全て当教室に導入済みである。
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Causes of Carryover |
遺伝子組換えマウスの導入が遅れたため、マウス導入用の費用が次年度に繰越となった。
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