2020 Fiscal Year Research-status Report
病原酵母が行うマイトファジーの宿主貪食細胞内生存における役割
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17K15696
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
名木 稔 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (60711687)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイトファジー / Candida glabrata / 病原性 / 酵母 / ミトコンドリア / 貪食細胞 / オートファジー / 病原真菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度において、好中球細胞内における鉄欠乏ストレスや酸化ストレスがマイトファジー欠損株の生存率を低めているとの仮説のもと、貪食前に好中球を鉄溶液またはMyeloperoxidase inhibitorで処理し、Candida glabrataおよびマイトファジー欠損株の貪食細胞内での生存率を比較した。鉄処理後の好中球を用いた場合、鉄処理なしの好中球と同様にマイトファジー欠損株の生存率は野生株と比べて有意に低かったが、Myeloperoxidase inhibitor処理後の好中球の場合はマイトファジー欠損株の生存率が高まり、野生株と同程度であった。また、野生株とマイトファジー欠損株の過酸化水素存在下での生存率を比較すると、マイトファジー欠損株では野生株と比べて生存率の低下が顕著であり、マイトファジー欠損株は酸化ストレス感受性が高いことが明らかになった。 また、好中球に貪食されたC. glabrataでは、マイトファジー遺伝子ATG32の発現量が顕著に増加しており、貪食細胞内におけるマイトファジーの活性化が予想された。 今年度は、貪食細胞内でのマイトファジー活性を測定するため、GFPを付加したミトコンドリア局在型ジヒドロ葉酸レダクターゼ(mtDHFR-GFP)を高発現したC. glabrata株を好中球に貪食させ、被貪食状態での菌のミトコンドリア分解活性を抗GFP抗体を用いたウエスタンブロットで測定した。ミトコンドリア分解が強く促進していると考えられる結果が得られたものの、マイトファジー欠損株でも同様の結果となり、マイトファジーとは関係のないミトコンドリアの分解と考えられた。好中球貪食後のサンプル調整時の非特異的なタンパク分解が原因と考えられたため、サンプル調整の条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度予定していた実験の一部が未実施であるため、研究期間を1年間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
貪食細胞内でのミトコンドリア機能維持におけるマイトファジーの役割の解明に関する実験が一部未実施であるため、来年度に行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度目に計画していた実験を2021年度に行うよう計画変更した関係で残額が生じた。2021年度に残りの実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)