2017 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルスゲノム・細胞内集合機構の解明
Project/Area Number |
17K15704
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 征彦 (杉田征彦) 大阪大学, たんぱく質研究所, 特任研究員(常勤) (00734469)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | インフルエンザウイルス / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスが有する8 本の RNP は感染過程において一本ずつバラバラに分かれ、再び 8 本に集合する (遺伝子再集合)。複数のウイルス 株が細胞に同時感染すると、一部の RNA 分節を交換した新しいゲノム構成を持つハイブリッドウイ ルスが生じる。この遺伝子再集合が新型ウイルスが生まれる原因となる分子機構である。したがって、 インフルエンザの防疫戦略を考える上で、RNP の集合機構を解明することが非常に重要である。 これまでに、蛍光標識を用いた光顕微鏡法と細胞の超薄切片を用いた電子顕微鏡法で同一領域を解析する相関顕微鏡法を用いた解析を行った。その結果、ウイルス感染細胞内に存在するRNPの微細構造を解析することに成功し、細胞質内の集合状態におけるRNP構造を明らかにした。さらに、免疫電子顕微鏡法を実施し、電子顕微鏡像でも RE および RNP を特異的に検出する事で細胞内分子の局在を同定できた。また、次年度に予定していたクライオ電子顕微鏡法を用いた細胞内RNPの観察を試み、試料調製方法の最適化に用いる基礎的なデータを取得した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、相関顕微鏡法を用いることでウイルス細胞内に局在するRNPの微細構造が明らかになった。さらに、免疫電子顕微鏡法によって特異的にRNPおよびオルガネラを同定できた。一方で、集合の場を同定するには、クライオ電子顕微鏡法等を用いたさらに詳細な構造解析が必要と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、詳細な細胞内RNPの形態および局在を明らかにするために、クライオ電子顕微鏡法を用いた形態解析を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度に予定していた相関顕微鏡法の解析が予定より早く終了し必要な試薬類も予定より少量で済み、クライオ電子顕微鏡法に用いる試料調製法の検討を進めた。また、2月の所属機関変更に伴い予定していた予算の執行を遅らせたため、次年度使用額が生じた。 次年度は、主にクライオ電子顕微鏡法に必要な資材および計算機器を準備し、細胞内RNPの集合過程について詳細に形態学的解析を実施する。
|
Research Products
(3 results)