2017 Fiscal Year Research-status Report
IL-15産生性免疫微小環境による免疫担当細胞の制御と生体防御機構
Project/Area Number |
17K15721
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
崔 广為 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (70791276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サイトカイン / 免疫微小環境 / ストローマ細胞 / NKT細胞 / IL-15 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫組織はリンパ球と免疫微小環境からなり、微小環境は上皮細胞、内皮細胞、細網細胞などのストローマ細胞から構成されている。ストローマ細胞はサイトカインの一つであるインターロイキン15(IL-15)を産生し、リンパ球の分化、成熟、維持および機能に重要な働きをしている。その実態を明らかにするため、ストローマ細胞特異的にIL-15産生を欠損する、組織特異的IL-15遺伝子破壊マウス(IL-15 cKOマウス)を作製した。 胸腺において、胸腺上皮細胞、血管内皮細胞、樹状細胞、マクロファージでIL-15遺伝子が破壊されるFoxn1-Cre、Tie2-Cre、CD11c-Cre、LysM-Cre IL-15 cKOマウスを解析し、胸腺髄質上皮細胞由来のIL-15がiNKT細胞の成熟に重要であり、特に新たに分画した2B4+ iNKT細胞の分化に必須であることを明らかにした。さらに、胸腺髄質上皮細胞由来のIL-15がCD8 T細胞の成熟にも寄与していることを明らかにした。一方、血管内皮細胞由来のIL-15がCD8 T細胞とiNKT細胞の胸腺外移出を制御している可能性を示した。 骨髄において、CAR細胞、血管内皮細胞、血球細胞でIL-15遺伝子が破壊されるLepr-Cre、Tie2-Cre、Vav-Cre IL-15 cKOマウスを解析し、ストローマ細胞より血球細胞由来のIL-15がNK細胞の骨髄内分化に重要であることを明らかにした。 肝臓において、肝細胞でIL-15遺伝子が破壊されるAlb-Cre IL-15 cKOマウスを解析し、NKT細胞や1型自然リンパ球(ILC1)の維持に関与していることを示唆した。 腸管において、腸上皮細胞でIL-15遺伝子が破壊されるVil-Cre IL-15 cKOマウスを解析し、腸上皮間リンパ球(IEL)の成熟および維持に重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画していた組織特異的IL-15遺伝子破壊マウス(IL-15 cKOマウス)を用いたIL-15産生性免疫微小環境の網羅的解析は、ほぼ予定通りに実施することが出来た。また、肺や脂肪組織において、肺上皮細胞や脂肪細胞などのストローマ細胞でIL-15を欠損させたマウスの作製と解析も予定通りに進んでおり、生体内におけるIL-15産生性免疫微小環境が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
サイトカインIL-15は受容体であるIL-15Raのトランスプレゼンテーションにより免疫細胞を活性化する。胸腺について、IL-15/IL-15RaによるiNKTの分化および維持メカニズムを詳しく解析するため、新たにFoxn1-Cre、CD11c-Cre、LysM-Cre IL-15Ra cKOマウスを作製し、ストローマ細胞、樹状細胞、マクロファージ由来のIL-15Raの機能を検討する。さらに、生体内のIL-15/IL-15Raトランスプレゼンテーションのメカニズムを明らかにする。また、2B4+ iNKT細胞ががん細胞の転移の抑制に関与しているかどうか、メラノーマ細胞の肺転移モデルを用い、Foxn1-Cre IL-15cKOマウスを使って解析する。 骨髄のIL-15については、血液細胞を分画することで、どの血液細胞が産生するIL-15が、NK細胞の骨髄内分化に重要かを検討する。肝臓については、Alb-Creに加えてLysM-Creも導入することで、肝細胞以外のマクロファージ由来のIL-15の機能についても検討する。脂肪組織におけるIL-15産生細胞の機能については、Adipoq-Cre、Tie2-Cre IL-15cKOマウスの解析を進め、脂肪細胞と血管内皮細胞由来のIL-15の機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する京都大学ウイルス・再生医科学研究所には、本研究で必要となる大型機器が全て備えられているが、翌年度分として請求した助成金と合わせて、直接経費の殆どは消耗品購入に充てる。組織からのストローマ細胞回収に酵素、磁気ビーズ、MACSカラムを使用し、フローサイトメーターでの細胞集団の解析に多種類の抗体が必要となる。また、回収した各ストローマ細胞の違いをRNA-seqで遺伝子の発現を網羅的に比較する。さらに、新たに遺伝子組み換えマウス系統を樹立するため、マウスの飼育に関わる経費が増える予定である。一方、種々のCreマウスの実験を計画しており、解析用個体を準備するための純系マウス購入費も必要である。実験用器具として、シャーレ、チューブ、チップ、注射筒などの消耗品を購入する予定である。その他は、学会発表に必要な旅費や研究成果投稿料として充てる予定である。
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Research Products
(1 results)