2017 Fiscal Year Research-status Report
核ラミナによるクロマチン構造変化を介したT細胞老化制御機構の解明
Project/Area Number |
17K15728
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 淳平 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (20734239)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | T細胞老化 / Lamin A/C |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫システムの老化(免疫老化)は、新規抗原に対する免疫応答の減弱や炎症性サイトカインの産生増加(SASP: Senescence-associated secretory phenotype)を誘導し、高齢者における発がん、感染症や慢性炎症疾患など、老化関連疾患増加の一因となる。T細胞分化の場である胸腺は、成人後に徐々に退縮し、老齢期には新たなT細胞の供給が著しく減少する。そのため、T細胞は免疫担当細胞の中で最も強く細胞老化の影響を受けると考えられている。これまでに、腫瘍抑制因子Meninを欠損したT細胞は、抗原刺激後の早期にT細胞老化の表現系を示すとともに、核膜裏打ち構造である核ラミナの構成タンパク質Lamin A/Cが著しく増加すること、遺伝子発現に対して抑制的に作用するクロマチン構造であるヘテロクロマチン領域が減少することを見出してきた。本研究は、Lamin A/CのT細胞老化とT細胞機能における役割を解明することを目的とする。本年度は、Menin欠損で誘導されるT 細胞老化におけるLamin A/Cの役割を検討するためT細胞特異的Lamin (A/C)/Meninダブル欠損マウスを作製した。残念ながら、ダブル欠損CD8 T細胞では、T細胞老化形質の誘導が抑制されなかった。一方で、Lamin A/C欠損 T細胞において、T細胞老化の特徴であるCD27/CD62Lの発現低下や炎症性サイトカインの産生が増加したことから、Lamin A/CはT細胞老化に関わると考えられる。今後、T細胞特異的Lamin A/C欠損マウスを用いて、Lamin A/CのT細胞老化誘導機構とT細胞機能における役割を解析したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、T細胞老化におけるLamin A/Cの役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、T細胞特異的Lamin (A/C)/Meninダブル欠損マウスを解析する予定であったが、ダブル欠損T細胞において老化形質の誘導が抑制されなかった。その一方で、Lamin A/C欠損T細胞で、T細胞老化の特徴が早期に誘導された。現在、Lamin A/CのT細胞老化における役割について解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞特異的Lamin A/C欠損マウスを中心に解析を行い、T細胞老化におけるLamin A/Cの遺伝子発現に与える影響やエピゲノム変化における役割を明らかにするとともに、免疫機能におけるLamin A/Cの役割を腫瘍移植モデルとリステリア感染モデルを用いて検討する予定である。
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Research Products
(4 results)