2017 Fiscal Year Research-status Report
CST1による新規アレルギー性鼻炎抑制メカニズムの解明
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17K15736
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
福岡 あゆみ 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30709754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / プロテアーゼ / 鼻粘膜上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアーゼ阻害タンパク質であるヒトCystatin SNを発現するhCST1-Tgマウスにスギ花粉を腹腔内免疫し、スギ花粉を点鼻投与することでスギ花粉症を誘導した。hCST1-Tgマウスでは野生型(WT)マウスと比較し、くしゃみ回数の顕著な減少が認められ、スギ花粉症の症状が抑制されることが明らかになった。また、スギ花粉を免疫したWTマウスに、スギ花粉と共にrecombinant hCystatin SN (rhCystatin SN)を点鼻投与した場合も、くしゃみ回数の減少が認められた。しかし、hCST1-TgマウスやrhCystatin SNの点鼻では、Th2免疫応答の抑制は認められず、花粉暴露後のスギ花粉特異的IgEや鼻粘膜に浸潤する好酸球数はコントロールマウスと差はなかった。これらのことから、Cystatin SNは鼻粘膜のバリア機能を保護し、抗原の鼻粘膜への侵入を阻害する結果、花粉症症状を抑制する可能性が示唆された。これを示す目的で、スギ花粉の暴露後、野生型マウスおよびhCST1-Tgマウスの鼻粘膜上皮バリアについて解析を行った。上皮細胞バリアに重要であるタイトジャンクション(TJ)構成タンパク質であるZO-1の発現を解析した結果、スギ花粉の点鼻によりWTマウスではZO-1の発現が低下していた。一方で、hCST1-TgマウスではZO-1の発現低下は認められず、鼻粘膜上皮バリアが維持されていることがわかった。これらの結果から、Cystatin SNはスギ花粉による鼻粘膜上皮バリアの破壊を抑制し、抗原の透過性を低下させることで花粉症症状を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験を順調に進めることができ、目標としていたCystatin SNがアレルギー性鼻炎を抑制するメカニズムを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた結果から、Cystatin SNの花粉由来プロテアーゼに対する阻害効果を有する可能性や直接上皮細胞のバリア機能を促進する作用持つ可能性が示唆される。Cystatin SNがスギ花粉由来プロテアーゼを阻害するか検討するために、in vitro においてrhCystatin SNとスギ花粉の抽出液を反応させることにより、スギ花粉のプロテアーゼ活性が抑制されるかを明らかにする。また、Cystatin SNが鼻粘膜上皮バリア機能を促進するかを検討するために、WTマウスとhCST1-TgマウスでTJに関与する遺伝子の発現を比較する。 また、Cystatin SNがどのようなメカニズムで発現誘導されるのかを検討する。これまでに、スギ花粉の点鼻によりCST1mRNAの発現が上昇することが確認されている。花粉点鼻前後の鼻粘膜での遺伝子発現の変化をRNA-seqを用いて解析し、どのようなシグナル経路がCST1の発現制御に関わるのかを明らかにする。
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Research Products
(7 results)