2019 Fiscal Year Annual Research Report
Diagnostic error in Japan; analysis of factor for physician's diagnostic error
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17K15745
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
和足 孝之 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00792037)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 診断エラー / 医療安全 / 医療の質 / 診断学 / 医師 / 医療訴訟 / 医療過誤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績は下記である。1)医師個人の診断エラー自己省察に基づく要因分析:申請者は都市部を含む6医療機関において臨床医130人の診断エラー症例の省察に基づく解析を行なった。結果、医師が初診患者で診断エラーに遭遇する割合は約10% 、遭遇場所は救急外来・一般外来・病棟の順で、診断エラーの種類として認知バイアスが多いことを明らかにした。2)インターネット調査を用いた医師の診断エラー実態調査:日本最大の医師会員数を有する日経メディカル社の協力を得て、医師会員に対して診断エラー症例に関するインターネット調査を実施し2223名の医師から回答を得た。結果、医師が診断エラーに遭遇する割合は約5%、遭遇場所の39.5%は初診外来であることが判明した。一方で診断エラーの発生率は卒後年数や勤務施設規模などにおいて有意差はないことが明らかにし、医師の診断エラー予防対策と生涯教育の重要性が浮き彫りになった。医師はいかに診断を誤るかについての研究や教育が必要であるとの警鐘を鳴らした論文を発表(Watari T. J Gen Fam Med. 2019)、診断エラーの克服のためにはテクノロジーとの融合が必要であることの指針を発表した(Nakano K, Watari T et al., J Gen Fam Med)。2017年から日本内科学会専門医部会診断プロセス向上ワーキンググループ、2018年から病院総合診療医学会診断エラーワーキンググループの、いずれも代表メンバーとして日本の診断エラーを減らすために取り組み、関連研究の研鑽とその改善策の提言の場を得てきた。この他、診断エラーの克服に向けた和文での論文発表や、診断エラー学の教科書の翻訳、和文教科書の作成、多数の商業誌の執筆などを通し、診断エラー防止の啓発活動を精力的に行ってきた。
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