睡眠障害の治療が就労状況に及ぼす影響に関する縦断的研究

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K15746
• Research Institution: Ehime University
• Principal Investigator: 淡野 桜子 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00591819)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 睡眠医学 / 睡眠 / 就労

Outline of Annual Research Achievements

日中の眠気は、きわめてありふれた症状であるにもかかわらず、医学的対応が十分に行われておらず、そのために多くの勤労者が社会生活上の問題に直面し、ときに離職にまで至るという実態があると考えられる。本研究は、睡眠専門医療機関を受診した睡眠障害患者において、特に眠気を原因として就労状況および社会生活上経験する困難が、治療によってどの程度改善するのか明らかにすることを目的としている。改善を実証するデータが得られれば、医療機関を受診してきない睡眠障害患者が、積極的に受診する契機となることが期待される。また、就労状況の改善に特に寄与する因子を明らかにすることによって、将来的により多くの睡眠障害患者が社会生活に適応していくために役立てたい。
本研究では、睡眠専門医療機関を新規受診する患者を対象に、通常の睡眠障害診断のプロセスを進め背景因子を評価すると共に、質問紙によって就労状況を含む社会生活上経験する困難さの問題を調査する。また、検査機器を用いた睡眠-覚醒リズムや客観的な覚醒度の評価も行う。
平成29年度は、睡眠障害の精査加療を目的として愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センターを新規受診した、6歳から65歳までの男女から、研究参加者を募集した。参加に同意した患者を対象として、眠気の評価および睡眠障害を診断するために、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査、psychomotor vigilance task　やエプワース眠気尺度、ピッツバーグ睡眠質問票を実施した。さらには、参加者の社会生活を評価するために、Work Limitations Questionnaire 日本語版や、SF-8、本研究のために作成した質問紙を実施した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画通りに、研究対象者の募集を開始し、評価を進められている。

Strategy for Future Research Activity

引き続き研究参加者の募集を行っていく。また、研究参加者の治療開始から3か月後、6か月後、1年後の時点で、治療効果確認を目的として、各種質問票およびpsychomotor vigilance taskを再度実施していく。

Causes of Carryover

倫理委員会の審査や質問票・機器の購入などの準備に時間を要し、研究参加者の募集開始に若干の遅れが生じたため。
使用計画としては、研究に必要な備品・消耗品の購入、学術集会等への旅費、研究データ入力のための補助者を雇用するための人件費として用いる。