2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new drug-induced kidney injury prevention strategy by real world data analysis and basic research
Project/Area Number |
17K15748
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
近藤 悠希 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (90721879)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 薬剤性腎障害 / ビッグデータ / バラシクロビル |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤性腎障害は頻度の高い薬剤有害事象であり、また、薬剤性腎障害の約三割が未回復であるため、薬剤性腎障害の予防方法や治療法の探索は、医療安全上の喫急の課題である。これまで世界中で薬剤性腎障害に関する様々な臨床研究および基礎研究が行われてきたが、その一方で、薬剤性腎障害は現在でも増加の一途をたどっており、十分な予防法が確立しているとは言い難い。バラシクロビルは抗ヘルペスウイルス薬として、帯状疱疹や水痘等に対して広く使用されている薬剤であるが、その一方で薬剤性腎障害の原因薬剤として報告が多い薬剤のひとつでもある。したがって、バラシクロビルによる急性腎障害の発症を増加または抑制する併用薬剤ならびに背景因子を検討することは、薬剤有害事象の回避のために重要な課題である。本研究では、バラシクロビルによる腎障害発症に各種併用薬剤が与える影響を検証する。 平成30年度はバラシクロビルによる薬剤性腎障害の発症に影響する非ステロイド性抗炎症薬以外の薬剤について、自発報告データベースを用いて検証を行った。その結果、レニンアンジオテンシン系阻害薬も非ステロイド性抗炎症薬と同様に急性腎障害を増加する可能性が示唆された。また、レニンアンジオテンシン系阻害薬と非ステロイド性抗炎症薬、バラシクロビルの3剤の併用は、腎障害の発症を更に増加させる可能性が示唆された。 また、自発報告データベースよりも大規模な医療情報データベースとして、レセプト情報を用いた検証を行ったところ、レセプト情報上でも非ステロイド性抗炎症薬の併用はバラシクロビルによる急性腎障害を増加する可能性が示唆された。 また、自発報告データベース上で腎障害を抑制する可能性が考えられた薬剤について、腎機能障害モデルにおける検討を実施したが、検討した項目においては腎障害抑制効果が見られなかった。
|