2017 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答におけるSDF-2機能解析によるオキサリプラチン耐性機序の解明
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17K15757
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橘 昌子 (田中昌子) 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00733651)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗がん剤耐性 / オキサリプラチン / 小胞体ストレス応答 / 胃がん細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
オキサリプラチンは腫瘍縮小効果の高い抗がん剤であるが、早期に耐性が生じるため奏効期間は短い。オキサリプラチン耐性の分子機構は報告されているものの、耐性を解除できる治療薬の開発には至っていない。我々はスキルス胃がん細胞株より新規のオキサリプラチン耐性因子としてSDF-2を同定したが、耐性を生じさせる分子機構については明らかにできていない。本研究ではSDF-2の分子機能の解析を中心にオキサリプラチンの新たな耐性機構を明らかにする。 平成29年度はSDF-2が既知の耐性因子の発現に与える影響および小胞体ストレス応答に与える影響を検証した。その結果、オキサリプラチン耐性スキルス胃がん細胞株OCUM-2M/OXAにおいて薬剤排出のポンプであるABCB1およびABCG2の発現上昇が見とめられた。しかし、SDF-2はこれらの遺伝子の発現とは無関係にオキサリプラチン耐性を生じさせていることが示唆された。SDF-2が既知の耐性機構に影響しなかったことから、SDF-2の分子機能を探索する目的で細胞内局在を調べたところ、小胞体に局在することが示唆された。さらに、SDF-2は小胞体ストレスによってタンパクレベルが上昇するが、転写レベルで発現誘導されないことが明らかとなった。そこで、小胞体ストレス応答のシグナル伝達に影響を与える調べた結果、シグナル伝達を直接的には制御しないことが示唆された。以上より、SDF-2は小胞体ストレス応答の活性を調節してオキサリプラチン耐性を生じさせているわけではないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属の異動に伴う、研究室のセットアップに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
SDF-2はUnfolded protein response (UPR) シグナルを直接的に制御しないが、小胞体機能の正常化に貢献する可能性がある。平成30年度はタンパク質結合解析や機能的ドメインの同定により、小胞体におけるSDF-2の分子機能を同定することで、オキサリプラチン耐性機構を解明する。
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Causes of Carryover |
所属の異動に伴う、研究室のセットアップに時間を要したため。当該年度に予定していた動物実験を次年度に実施する。
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Research Products
(4 results)