2018 Fiscal Year Research-status Report
ストレス適応障害に関与するユビキチンリガーゼの同定とその制御による治療薬の開発
Project/Area Number |
17K15759
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
宮岸 寛子 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (30642417)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレス / ユビキチンリガーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンリガーゼの1つであるneural precursor cell expressed developmentally down-regulated (Nedd) 4-2 は複数のアミノ酸残基がリン酸化されることが知られている。そこで、Nedd 4-2 リン酸化体のp-Nedd4-2 (Ser342) とp-Nedd4-2 (Ser448) の発現量の変化をWestern blot法で検討した。その結果、p-Nedd4-2 (Ser342) の発現量は、4時間の拘束ストレスを14日間慢性負荷したストレス非適応モデルマウス(非適応マウス)の海馬において減少した。一方、1時間の拘束ストレスを14日間慢性負荷したストレス適応モデルマウス(適応マウス)の海馬において変化は認められなかった。また、p-Nedd4-2 (Ser448) の発現量は、非適応マウス、適応マウスの海馬いずれにおいても変化が認められなかった。 次に、p-Nedd4-2発現量がストレス負荷の日数により変化するのかを検討するために、1時間または4時間の拘束ストレスを1、3、7、14日間負荷したマウスの海馬サンプルを作成した。その結果、p-Nedd4-2 (Ser448) の発現量は、ストレス負荷の時間や日数にかかわらず非ストレス群と比較して変化が認められなかった。一方、p-Nedd4-2 (Ser342) の発現量は、1時間の拘束ストレス負荷ではどの日数でも変化が認められなかったが、4時間の拘束ストレス負荷では、1、3、7日間では変化せず14日間負荷したときに発現量が減少した。さらに、大脳皮質を用いて検討を行ったが、大脳皮質においてはp-Nedd4-2 (Ser448)とp-Nedd4-2 (Ser342)の発現はストレス負荷によりともに変化が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、4時間の拘束ストレス負荷により、海馬においてp-Nedd4-2 (Ser448)は変化しないが、p-Nedd4-2 (Ser342)の発現量が減少することを見出した。またこのp-Nedd4-2 (Ser342)の減少は拘束ストレスの負荷日数が長くなると減少することも見出したが、その変化が生じる細胞腫の同定には至らなかったため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
適応マウスおよび非適応マウスにおけるユビキチンリガーゼの細胞腫ごとの発現変化を検討する。これまでに非適応マウスの海馬においてexcitatory amino acid transporter (EAAT) 2発現量が減少することを見出している。EAAT2はNedd4-2によりユビキチン化されることが報告されているため、適応マウスや非適応マウスにおいてNedd4-2やp-Nedd4-2がEAAT2に作用しているか免疫沈降法および免疫組織化学法を用いて明らかにする。また、抑肝散は非適応マウスの情動行動の異常を改善することも見出している。そこで、抑肝散投与がNedd4-2やp-Nedd4-2の発現変化に及ぼす影響をWestern Blot法により検討する。
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Causes of Carryover |
抗体、試薬等の消耗品が当初の予定額よりも低価格にて購入が可能となったため。 研究計画に大きな変更はないが、次年度使用額を平成30年度請求額と合わせて免疫沈降法、免疫組織化学法およびWestern Blot法に使用する抗体および消耗品費用として使用する。
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