2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞とスタチン製剤併用による強皮症の新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K15761
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
永井 孝治 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30572458)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 強皮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブレオマイシンで誘発した強皮症モデルマウスを用いて、マウス皮下脂肪から抽出した脂肪組織由来幹細胞(AdSC)の治療効果を先ず検討した。その結果、AdSCの細胞数依存性に、強皮症モデルマウスの皮膚炎症と線維化を有意に抑制する結果を得た。次に、シンバスタチンを生体吸収性ポリナノマー(PLGA)粒子に取り込ませたナノパーティクル粒子(SimNP)をAdSCに抱合して、その細胞機能を評価した。その結果、SimNP-AdSCは細胞単独と比較して、遊走能と生存能が有意に高まる結果であった。また、SimNP-AdSCは、制御性Tリンパ球の分化増殖を誘導するTGFの遺伝子発現が、細胞単独と比較して有意に更新している結果を得ている。 現在、強皮症モデルマウスに対して、SimNP-AdSCを経静脈的に移植し、細胞単独群と治療効果を比較するin vivoの実験を行っている。現在、組織学的に細胞単独よりも、SimNP-AdSCの方が、有意に強皮症マウスの皮膚炎症及び線維化を抑制する結果を得ている。また、SimNP-AdSCは細胞単独と比較して強皮症マウスの皮膚組織において、TNF, IL-4などの炎症性サイトカインの遺伝子発現を抑制し、線維化因子であるCol1a1, TIMP-1の遺伝子発現を抑制した。一方で、MMPの遺伝子発現は更新しており、線維化抑制の機序である可能性が示唆された。2017年度は、研究の遂行と研究結果の蓄積に費やした。2018年度は、学会発表及び論文作成を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブレオマイシンで誘発した強皮症モデルマウスを用いて、マウス皮下脂肪から抽出した脂肪組織由来幹細胞(AdSC)の治療効果を先ず検討した。その結果、AdSCの細胞数依存性に、強皮症モデルマウスの皮膚炎症と線維化を有意に抑制する結果を得ている。 シンバスタチンを生体吸収性ポリナノマー(PLGA)粒子に取り込ませたナノパーティクル粒子(SimNP)をAdSCに抱合して、その細胞機能を評価した結果、遊走能と生存能などの細胞機能が高まる結果であった。更に、Sim-AdSCは免疫抑制に作用する液性因子の産生が期待できる結果を得ている。現在、SimNP-AdSCの治療効果を確認するIn vivoの実験中であり、良い結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
強皮症モデルマウスに対するSimNP-AdSCの治療効果を細胞単独と比較することにより検討する。可能であれば、予後に及ぼす影響まで検討する。 更に、SimNP-AdSCの作用機序について明らかにしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
2017年度は実験の遂行と、研究結果の集積に費やしたため、学会発表などの旅費が発生しなかった。2018年度は、学会発表目的の旅費、論文作成の費用の使用を見込んでいる。
|