2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性炎症を呈する非肥満2型糖尿病患者に特異的な自己抗体の探索および病的意義の解明
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17K15780
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
福田 拓也 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (70782077)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己抗体 / 2型糖尿病 / 脂肪肝 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人を含むアジア人においては、非肥満者においてもメタボリック症候群、脂肪肝、糖尿病や動脈硬化性疾患の発症リスクの高いことが知られている。私たちは脂肪肝炎やサルコペニアを呈する非肥満2型糖尿病患者においてT細胞が活性化している病態に注目し、非肥満2型糖尿病患者のある一群において、T細胞が特有の自己抗原により感作されて活性化し、その活性化T細胞とB細胞のインタラクションから疾患特異的自己抗体が産生され、慢性炎症を発症するという機序の着想を得た。 新規疾患特異自己抗体検索目的に、当科研究室にて現在進行中のコホート研究(『生活習慣病関連肝疾患のコホート調査研究』)に同意を頂いた患者の保存血清を用い、産業技術総合研究所(創薬分子プロファイリング研究センター五島 直樹 先生)に自己抗体プロファイリング用プロテインアレイの受託解析を依頼したが、2017年6月末に、改訂された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に対応するため実験計画書の修正を要するとの連絡があったため、本学倫理委員会に実験計画書の再申請を行った。 2017年9月28日承認を受けた後、対象とした患者(病態群(BMI 23kg/m2未満で筋量減少・脂肪肝を共に呈する症例) 4名、対照群(BMI 23kg/m2未満で筋量減少・脂肪肝を共に認めない症例) 3名)より同意書を再取得し、同時に末梢血単核球採取を行い凍結保存した。2017年11月下旬には全ての同意書を取得し、2017年12月から2018年1月にかけてプロテインアレイ解析を行って頂いたが、病態群内で共通する自己抗体を見出すことが出来なかった。 そのため現在、病態群のBMIの定義を 25kg/m2未満に変更して対象患者数を増やし、再度産業技術総合研究所にてプロテインアレイを施行する方向で準備を進めている。2018年5月下旬解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、早期のプロテインアレイ実施を目指しておりましたが、平成29年5月30日より施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改正版に対応するため、実験計画書の修正が必要となりました。新しい倫理指針に対応する書類を本学倫理委員会より承認を受けるまで測定の実施を待機する必要があり、また対象患者の方より本研究に関する同意を再度得る必要がありましたので、研究の開始が遅れました。
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Strategy for Future Research Activity |
対象患者数が少なかったこと、血清の状態が不良な検体が混在したこと(※血清の凝固により、IgG分画の量が極度に少なかったsampleがあった)が要因として考えられたため、現在対象患者を広げ、血清を再度取得し、2018年5月末から6月にかけての再測定を目指して準備を整えている。 病態群に共通する自己抗体が見出された場合、その特異抗原を貼付したELISAプレートを産業技術総合研究所にて作成して頂くことで話はまとまっており、ELISAプレートが完成し次第、コホート研究の全保存血清を用いて自己抗体の量を定量し、肝臓の状態、筋肉の状態、炎症反応との関連を調査し、候補自己抗体の感度・特異度を検討する。またプロテインアレイを行った病態群の保存血球を用い、T細胞と自己抗原を用いたex vivo assayを併行して行っていく。
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Causes of Carryover |
2017年度は、対象患者の血球保存のために必要な試薬・消耗品の購入、及び初回のプロテインアレイに要した研究費を請求させて頂きました。初回プロテインアレイでは病態群内で共通する自己抗体を見出すことが出来なかったため、2018年度に対象患者数を増やしてプロテインアレイを再試行して頂く予定であり、そのために2017年度の残金を2018年度に使用させて頂くことと致しました。
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