2017 Fiscal Year Research-status Report
GATA2変異による遺伝性MDS由来iPS細胞を用いた分子発症機序の解明
Project/Area Number |
17K15781
|
Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
西尾 美和子 文京学院大学, 保健医療技術学部, 助教 (30623318)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | GATA2変異 / 骨髄異形成症候群(MDS) / 家族性MDS / iPS細胞 / 骨髄移植モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、骨髄異形成症候群(MDS)で同定された様々な遺伝子異常のうち、常染色体優性遺伝を呈する家族性MDSの原因遺伝子異常の一つであるGATA2変異に焦点を当てている。このGATA2変異にどのような多段階の分子異常の蓄積がおこってMDSの発症に至るのかを、未発症家族性MDS患者の末梢血リンパ球から樹立したヒトiPS細胞を用いて解析し、「GATA2変異による遺伝性MDS由来iPS細胞を用いた分子発症機序の解明」を目指すものである。 GATA2変異を有する2家系の家族性MDSのMDS患者から末梢血リンパ球を無菌的に単離し、確立されている方法により2種類のGATA2変異iPS細胞(R396WとP250A)を樹立した。GATA2変異iPS細胞をiPS-SAC法で造血前駆細胞まで分化させたところ、正常iPS細胞と比較して有意にCD34陽性細胞が減少していた。また、骨髄移植モデルマウスを作製し、GATA2変異をマウス造血幹細胞に過剰発現させると、分化した顆粒球系細胞が著減していた。このことからGATA2変異単独ですでに造血幹細胞の分化障害が生じていることが明らかとなった。 次に、先天的なGATA2変異に後天的な付加的遺伝子変異が加わってMDSが発症すると考え、MDS発症家族性GATA2変異患者の骨髄DNAと頬粘膜DNAを用いて全エクソン解析を行った。その結果、MDSの進展に関わる複数の遺伝子変異を同定した。その中に一つであるGene Xについて、付加異常としての機能解析を開始した。GATA2変異iPS細胞から誘導したCD34陽性細胞にGene Xを遺伝子導入し、OP9細胞上で長期培養を行い、MDSの血液学的特徴を獲得するかを検討している。同時に両遺伝子をマウス造血幹細胞に導入した骨髄移植モデルマウス作成に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子病態の解明のためのiPS細胞樹立に成功し、造血幹細胞への再分化実験系は順調に進行している。マウス実験系も順調に進行しており、GATA2変異を有する造血幹細胞がMDSなどの造血器腫瘍を発症していく過程の追跡調査を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
経時的な変化の追跡のために、モデルマウスや家族性MDS症例から樹立したiPS細胞を分化させ、観察およびサンプリングを行い、進行に関与する遺伝子異常の同定を試みる。iPS細胞由来造血幹細胞、および協調遺伝子導入した細胞をNOGマウスに移植してヒト化MDSモデルマウスを作成する。並行してさらに家族性MDS家系を検索する。
|
Causes of Carryover |
2018/10/15~2019/3/31の期間、産前産後休暇・育児休暇を頂いたため、次年度使用額が生じている。2019/4/1に復職した。今年度中にペースを上げて研究を進める予定であり、場合によっては延長申請も考えている。
|