2017 Fiscal Year Research-status Report
難病疾患肺動脈性肺高血圧症の発症原因遺伝子の新規同定と機能解析
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17K15782
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
百瀬 裕一 杏林大学, 医学部, 医員 (60795798)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / whole exome解析 / 発症原因遺伝子 / サンプルバンク |
Outline of Annual Research Achievements |
難病指定疾患である肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、BMPR2遺伝子異常が発症の一因となることが知られているが、この異常を有する患者は、特発性PAH患者の25%程度と限られている。即ち、PAHの過半では原因を特定出来ていない。そのため、根本的な発症概念は確立されておらず、肺動脈肥厚に至る分子機構は不明で、治療方法も確立していない。研究代表者らのチームは、2009年から多施設共同体制によってPAH患者の検体収集を行い、2018年時点で約400検体と、日本最大数のサンプルバンクを構築している。このサンプルバンクを用いて、未解明のPAH発症原因遺伝子の同定を目標に、BMPR2遺伝子異常を有しない患者検体を用いてwhole exome解析を実施し、BMPR2遺伝子とは異なる新規の発症原因遺伝子の有力候補を見出した。さらに、研究者チームが保有するサンプルバンクを用いて、これら有力候補遺伝子に関して臨床情報との相関解析、患者における変異頻度の解明、を実施し臨床的意義を精査した。また、ヒト肺血管細胞を用いて候補遺伝子の発現調整によるin vitro実験、遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を今後の実験計画に取り入れて、候補遺伝子変異によるPAH発症機序を詳細に解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規発症遺伝子候補の同定、臨床データとの相関解析の終了、in vitro実験の実施、in vivo実験の進捗、等を総合的に判断し、当初の計画にそって概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺血管細胞を用いて候補遺伝子の発現調整によるin vitro実験を実施中である。今後は、CRISPR/Cas9システムを用いた変異導入細胞株の作製などを通じて、詳細な遺伝子の機能解析を進めていく。さらに、遺伝子改変マウスを作製中であり、まもなくin vivo実験を実施開始予定である。今後は、この遺伝子変異によるPAH発症機序を詳細に解明していく。
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Causes of Carryover |
研究は、当初計画にそって順調に進展しているが、候補遺伝子同定後に、in vitro実験でのCRIPR/Cas9システムの構築に当初よりも時間を要し、一部のin vitro実験での使用予定費用を、次年度使用額として移動することとなった。今後は、次年度に繰り越したin vitro実験を早急に進展させ、そのために次年度使用額を使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)