2017 Fiscal Year Research-status Report
スキャニング照射装置におけるインターロック機構の最適化
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17K15812
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
丹正 亮平 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 加速器工学部, 研究員(任常) (80735126)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スキャニング照射 / ビームインターロック / 線量分布計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スキャニング照射装置において、照射を中断させるインターロックの作動条件、閾値を最適化することである。現在一般的に使われているインターロックの閾値は慣用的な値であるため、論理的根拠を持った設計をすることが重要である。これは誤照射から患者を守ると同時に不必要な照射中断を防ぎ、治療効率を落とさないことを目的とする。本研究課題が達成されることで、治療効率の維持と線量分布の担保を両立させることができる。 最適なインターロックの作動条件、閾値を探すためには、照射に意図的な誤差を与えて、線量分布にどの程度の影響があるか定量的に把握する必要がある。これを実験的に行うことは、時間と労力がかかりすぎるため、シミュレーション上で実行できるよう計算環境を構築した。現在は、構築した計算ツールを使用して、照射中の誤差を与えたときの線量分布のシミュレーションを結果を蓄積している。 また、設計したインターロック機構は最終的に実際の制御系で試験する予定である。それを実装するためのFPGA基盤を用意し、設計したインターロック機構を実現できるよう準備を進めている。 次年度以降は、蓄積したシミュレーション結果を解析し、インターロックの閾値となりうる指標を調査する。その後、候補となる指標が線量分布の状態を表しているか検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の計画では、最初に線量分布をシミュレーションするための計算環境を構築し、それを使って照射中の誤差と線量分布の関係を調査するとしている。現在は、計算環境の構築が予定していた期間よりも長引いたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、線量分布のシミュレーションから照射中の誤差と線量分布の関係を明らかにし、それをインターロック条件として簡単に表せる指標を提案するまでとしていた。現在はそれを実装した制御系を構築し、実際のスキャニング照射装置で試験することも目標としている。今後はシミュレーションと並行して、その結果を実現するための制御系についても検討して行く。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の計画ではシミュレーション環境の構築にあたり、高性能PCの購入を予定しており、ほとんどこれに予算配分していた。現在は試験的に使用した所属機関内のPCで一定の計算スペックを得られており、加えてシミュレーション環境の構築もやや遅れたことから、PCの購入を保留した。
(使用計画)今後、シミュレーションの実行回数が増加してくるため、保留したPCの購入を検討する。一方で、設計したインターロック機構を実現するための制御機器、試験のための測定機器などの準備を進める。
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