2019 Fiscal Year Research-status Report
陽子線治療における部位別正常組織有害事象発生確率パラメータの決定
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17K15815
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
馬場 大海 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医学物理士 (70763572)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物線量計算システム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では体内の位置によって変化する陽子線の生物学的効果を考慮した線量評価を行い、線量情報と臨床データから正常組織別の有害事象発生確率モデルのパラメータを決定する。 昨年度までに食道癌細胞を用いた生物学的効果比(RBE)の解析、モンテカルロアルゴリズム(MCA)を搭載した線量計算システムの吸収線量計算精度検証、臨床例を用いたレトロスペクティブ解析によるMCA線量分布の検証を完了している。 平成31年度は、解析したRBEと精度検証した吸収線量計算システムを組み合わせた生物線量計算システム構築のため、システムのハードウェア更新及び新規機能を含むソフトウェア開発を実施した。現在、ハードウェアおよびソフトウェアのアップデート、さらに新規機能の開発は完了しており、システムとしてほぼ完成し計算可能となっているが、まだ一部ソフトウェアにバグがあり当初の想定より時間を要している。 精度検証した線量計算システムに対して、生物線量計算を行うためのRBEモデルの実装、およびモデルの関数としての線エネルギー付与(LET)を計算可能なソフトウェアの開発を行った。また、LET分布および生物線量分布の表示機能、さらに本研究で予定しているレトロスペクティブ解析のために複数患者のDVH情報を自動解析し出力する機能を追加機能としてソフトウェアに組み込んだ。また、ハードウェアに関して、吸収線量、LET、粒子数等を並列で計算する必要があるため、高速計算が可能なGPUを組み込んだハードウェアの更新を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の主目的である陽子線の生物学的効果を考慮した線量評価を実施するために必要となる生物線量計算システムの開発に時間を要している。昨年度線量計算システムのハードウェア更新、生物線量計算が可能なソフトウェア開発(RBEモデル実装、LET計算機能、生物線量分布表示機能、DVH自動解析出力機能)を実施しシステム開発としてはほぼ完了している。しかしながら、まだ一部ソフトウェアにバグがあり当初の想定より時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針としては、ソフトウェアのバグ対応を実施し、生物線量計算システムを構築する。さらにシステムの精度検証を実施し、その後、過去患者の有害事象情報及び治療計画情報を用いたレトロスペクティブ解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
生物線量計算システムの計算線量精度検証として細胞実験を予定しており、細胞に対するX線照射、陽子線照射を行なうため、細胞株、それらを培養する培地や細胞培養プラスチック器具、ガラス器具が必要である。また、得られた研究成果等は国内学会(日本放射線腫瘍学会、医学物理学会等)、国際学会(米国放射線腫瘍学会、米国医学物理学会等)で随時発表し、学会誌等に発表する予定である。
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