2021 Fiscal Year Annual Research Report
Social Capital Research for Dementia Prevention Strategies through Population Strategies
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17K15822
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
宮國 康弘 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90734195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / ポピュレーションアプローチ / マルチレベル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域レベルのソーシャル・キャピタルと認知症発症との関連を検証することを目的に進められた。高齢期の豊かな社会関係が認知症を予防することは知られており、社会関係の一つである「社会的サポート」も認知機能低下の抑制になる。個々人の社会的サポートの授受が認知機能低下を抑制することに関する先行研究はあるが、個々人の社会的サポートの授受に関わらず、社会的サポートが豊かな地域に暮らすことで、認知機能低下を抑制するのかどうかは研究がほとんどない。そこで、本研究では、社会的サポートの4つの側面(情緒的サポート受領、情緒的サポート提供、手段的サポート受領、手段的サポート提供)に着目し、認知症発症との関連を検証することを目的とした。地域レベルの社会的サポートは、地域のつながりの豊かさであるソーシャル・キャピタルとも捉えることができ、予防医学分野で重要と考えられるポピュレーション戦略上有用である。 本研究の対象者は、2003年に65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者を約10年間(ベースライン調査から3,436日)追跡した15,313名(男性7,381名、女性7,932名)の日本老年学的評価研究によって収集されたデータセットを用いた。分析方法について、目的変数は認知症高齢者の日常生活自立度(ランクⅡa以上を認知症あり)、説明変数を地域レベルの社会的ネットワーク(4側面の社会的サポートを44小地域で集計した地域変数を作成)、その他の調整変数を用いて、マルチレベル生存分析を行った。 本研究の分析の結果、地域レベルの情緒的サポートの受領割合が1%増加すると、個々人の社会的サポートの授受に関わらず、認知症発症を4%抑制していた。情緒的サポート受領が豊かな地域は認知症発症を抑制する可能性が示唆された。 2021年度、本研究はBMJ Openに採択された。
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Research Products
(1 results)