2018 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムにおける百日咳発生パターンと乳児への感染リスク
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17K15829
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
樋泉 道子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (00778623)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 百日咳 / 出生コホート / seroprevalence |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 新生児の百日咳抗体保有率調査:分娩時の百日咳抗体保有率と抗体価を明らかにし、児の百日咳罹患可能性を推定するため、ベトナム中南部・ニャチャン市16コミューンに住み、同市のカンホア総合病院産科で1年間(2017年8月-2018年7月)に出生した児の登録と臍帯血検体採取をおこなった。1572人の新生児を登録、うち1570人で臍帯血IgG-anti PT抗体を測定した。IgG-anti PT抗体geometric mean titer (GMT) 9.98 IU/ml (95%CI 9.44-10.55)、48.6%が感染防御閾値といわれる10IU/ml以上であった。
2.乳児期の百日咳発生率調査:乳児期の百日咳発生の実態(発生率)を明らかにするため、1. の児を追跡し1歳になる前に急性呼吸器症状がありカンホア総合病院小児科に入院した児を同定、入院時の鼻咽頭ぬぐい液採取を開始した。2019年4月11日までに154症例(139人)を同定、検体採取をおこなった。
3.年齢別百日咳感染率調査:年齢グループ毎の百日咳抗体保有率と抗体価を明らかにし、それに基づき年齢別百日咳感染発生率を推定するため、2017年7月に同地域で0-5、6-15、16-25、26-35、36-55歳の5つの年齢群毎に100人ずつrandom samplingをし、採血、IgG-anti PT抗体価を測定した。515人を登録、うち510人(各群100、107、105、94、104人)で抗体価を測定した。ワクチンの影響が小さい3歳以上(n=483)で検討すると、GMTは10.20 (9.17-11.34)、3-5歳で15.29 (11.57-20.23)と最も高かった。一年以内の感染を示唆する62.5IU/ml以上は全体で5.4%、3-5歳で9.6%と最も多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度には予定していた通り、 1. 新生児の百日咳抗体保有率調査:出生コホート母児の登録・検体収集、その抗百日咳毒素抗体価測定を完了、 2.乳児期の百日咳発生率調査:その児の追跡および急性呼吸器疾患入院時の情報・検体収集を継続、 3.年齢別百日咳感染率調査:年齢グループ毎の横断調査の対象の抗百日咳毒素抗体価測定を完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「1. 新生児の百日咳抗体保有率調査」によるニャチャン市16コミューンの新生児における百日咳防御閾値未満の児の割合、および「3.年齢別百日咳感染率調査」による年齢群別の1年以内百日咳感染率について、第51回日本小児感染症学会学術集会において発表する予定である。 「2.乳児期の百日咳発生率調査」においては、出生児の追跡は最後に登録された(2018年7月)児が1歳になるまで(2019年7月)継続し、追跡終了後に急性呼吸器症状を伴う入院をした児の鼻咽頭ぬぐい液検体中の百日咳菌核酸同定を行う予定である。 1, 2, 3について解析、論文執筆を開始する。
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