2020 Fiscal Year Research-status Report
軽度認知機能障害と動脈硬化性疾患リスクファクターの関連:都市部住民における検討
Project/Area Number |
17K15834
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉山 大典 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (90457052)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 予防医学 / 軽度認知機能障害 / 炎症反応 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象者は、研究代表者が参画している先端医療振興財団が行っている神戸市一般住民を対象とした神戸研究の都市部住民コホート研究参加者1134人である。平成22~23年度に市の広報など公募情報提供および地域自治会の協力により研究参加者を募り、ベースライン調査を実施した。以後、平成22年度参加者は平成24年度に、平成23年度の参加者は平成25年度にというように2年おきに追跡調査を継続しているが、2020年度は新型コロナウイルスの影響により追跡調査が11月・12月の2回しか施行することが出来ず、またいずれの2回も新型コロナウイルス対策のため感染・重症化のリスクが高い75歳以上については2020年度実施分では来所による調査対象から除外したため、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)のスクリーニングを目的としたThe Montreal Cognitive Assessment (MoCA)を実施することはできなかった。 また、関連研究として、神戸研究のデータを基にして都市住民における非特異的ストレス指標K6の悪化予測因子の探索に関する研究(田谷、杉山他、2020年)やMCIを始めとした認知機能に影響を与えると考えられている飲酒について、量・頻度が多い地域である鹿児島県与論町において、大量飲酒者の減酒を目的に世界的に普及が進められている簡易介入(Brief Intervention, BI)を実際の保健事業と同様に非ランダム化割付で実施した研究において、BIが飲酒状況の改善に対して一定の効果がある事を明らかにした(Sakurai J, Sugiyama D, Ito M, Maesato H, 2021, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、2020年度は新型コロナウイルス感染症流行の影響で、75歳以上の対象者を来所検査の対象者から除外せざるを得なかったため、MoCAによるMCIのスクリーニング及び各種問診やLDLコレステロールなどの動脈硬化性疾患の危険因子を含む生化学検査を行うことは不可能であった。加えて、保存検体を用いたバイオマーカーの測定も保存検体を保管している機関へのアクセスが物理的に非常に困難であったため、2020年度に予定通り進めることが不可能であった。また、研究代表者が本務校所属学部においてオンライン授業関連への対応を司る委員会(メディアIT関連委員会)の委員長であったため、例年よりも教育および学部運営に要するエフォートが大幅に増加し、本研究を含む研究活動へのエフォートを軽減せざるを得ない状況にあった。 このように本研究は予期せぬ新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けたこともあり、今年度の研究進捗状況は「((3)やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月現在、新型コロナウイルスの影響により高齢者を含む追跡調査の定期的な実施は難しいため、神戸研究全体として従来の追跡調査を一度終了せざるを得ない状況にある。よって、感染流行が落ち着いた頃を見計らって、利用可能な保存検体を用いて各種バイオマーカー(高感度CRP、n-6系脂肪酸等)の測定を行う予定である。また、本研究代表者が分担研究者として参加している『水分摂取習慣が脳梗塞再発及び認知機能低下に与える影響:画像評価を含めた観察研究』(研究代表者:京都光華女子大学健康科学部教授 西川智文)では神戸研究の高齢者が研究対象者となっており、従来の追跡調査の補完となるように同研究との連携を進める予定である。また、2018-2019年度の調査に相当する第4回追跡調査のデータクリーニングおよびデータセットの整備間完了次第、第3回追跡調査のデータと合わせて、追跡調査におけるMoCAの結果と7~8年前のベースライン時点における古典的な動脈硬化性疾患のリスクファクター(血圧や血糖値などの古典的血清マーカー、生活習慣、血圧脈波による動脈硬化進展度)とMCIの関連、及び前述の古典的なリスクファクターに炎症に関連するバイオマーカーを加えた場合のMCI発症予測能の改善について縦断的に検討する予定である。 今年度は2019年度追跡調査によって得られた保存血清を用いた各種バイオマーカー(高感度CRP、n-6系脂肪酸等)の測定を見送り2021年度まで本研究を延長することとした。その理由は前述のように新型コロナウイルス流行の影響により、神戸研究全体が従来の追跡調査を一度終了せざるを得ない状況となり、保存血清の残量及び保存検体の取り扱いの関係上、別研究にて測定予定のLOX-1 系変性 LDL指標(sLOX-1、LAB)などと併せて、2021年度に測定する方が望ましいと延長申請時点では考えられたためである。
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Causes of Carryover |
今年度は2019年度追跡調査によって得られた保存血清を用いた各種バイオマーカー(高感度CRP、n-6系脂肪酸等)の測定を見送り2021年度まで本研究を延長することとした。 その理由は新型コロナウイルス流行の影響により、神戸研究全体が従来の追跡調査を一度終了せざるを得ない状況となり、保存血清の残量及び保存検体の取り扱いの関係上、別研究にて測定予定のLOX-1 系変性 LDL指標(sLOX-1、LAB)などと併せて、2021年度に測定する方が望ましいと延長申請時点では考えられたためである。
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[Journal Article] 横断研究による推定24時間尿中ナトリウム・カリウム比およびBMIと血圧との関連 神戸研究2020
Author(s)
野澤 美樹, 桑原 和代, 久保田 芳美, 西田 陽子, 久保 佐智美, 平田 匠, 東山 綾, 平田 あや, 服部 浩子, 佐田 みずき, 門田 文, 杉山 大典, 宮松 直美, 宮本 恵宏, 岡村 智教
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Journal Title
日本公衆衛生雑誌
Volume: 67
Pages: 722-733
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 都市住民における非特異的ストレス指標K6の悪化予測因子の探索2020
Author(s)
田谷 元, 桑原 和代, 東山 綾, 杉山 大典, 平田 あや, 佐田 みずき, 平田 匠, 西田 陽子, 久保 佐智美, 久保田 芳美, 門田 文, 宮松 直美, 西村 邦宏, 宮本 恵宏, 岡村 智教
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Journal Title
日本公衆衛生雑誌
Volume: 67
Pages: 509-517
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 都市部健康住民における塩味味覚閾値の上昇と生活習慣・食習慣との関連 神戸研究2020
Author(s)
松本 みな美, 佐田 みずき, 久保田 芳美, 西田 陽子, 久保 佐智美, 東山 綾, 平田 匠, 門田 文, 平田 あや, 宮嵜 潤二, 桑原 和代, 杉山 大典, 宮松 直美, 宮本 恵宏, 岡村 智教
Organizer
日本公衆衛生学会
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[Presentation] 尿中Na/Kを考慮した家庭血圧とCardio-ankle vascular index(CAVI)の関連2020
Author(s)
眞鍋 佳世, 桑原 和代, 田谷 元, 久保田 芳美, 西田 陽子, 久保 佐智美, 平田 匠, 東山 綾, 平田 あや, 佐田 みずき, 門田 文, 杉山 大典, 宮松 直美, 宮本 恵宏, 岡村 智教
Organizer
日本公衆衛生学会
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