2018 Fiscal Year Research-status Report
リスクスコアに基づく経済的エンリッチメントデザインの構築
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17K15836
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
室谷 健太 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (10626443)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エンリッチメントデザイン / 感度・特異度 / 生物統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は平成29年度に実施した割合をエンドポイントとした場合の感度・特異度を利用した予測治療効果に基づく試験デザインに続いて、生存時間をエンドポイントとした場合の試験デザインについて検討を進めた。諸事情が発生したため、予定通り研究を進めることが困難であったため、スケジュールを修正せざるを得なかった。 生存時間をエンドポイントとしたとき既知の感度・特異度を持つバイオマーカーを利用した場合の予測治療効果推定の文脈から、データが順序性のある3層に層別され、中間層の治療効果が未知のとき、他の層の点推定値と信頼区間の情報のみから補完する方法を議論した。この手法は治療群、層に割り当てられたスコア、それらの交互作用から成るCox比例ハザードモデルに基づき簡便な式で予測効果を推定可能にするものである。数値シミュレーションの検討により、本手法はバイオマーカーのリスク分類能に強く影響を受ける可能性が示唆された。このことは裏を返せば分類能が弱いバイオマーカーの場合には頑健な手法と解釈することもできる。また、データが比例ハザード性を持つのかどうか、打ち切りの程度、各層に属する症例数の関係などの関係性について研究を継続している。 さらに、他のアプローチとして生存時間が従う分布を仮定することで直接推定を行う方法と、重み付き平均から推定する方法も想定され、それぞれ必要な仮定と推定できるパラメータに差異がある。そのため各提案法間のアドバンテージとディスアドバンテージを整理し、何をしたいときにはどの方法で接近すべきか議論を深める必要がある。今年度は、まずそれらの点を明らかにし学会発表、論文発表に向けて研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はバイオマーカーを利用しなかったときの治療効果と当該マーカーの感度・特異度の情報から予測治療効果を推定し、その予測効果を検出するために必要な症例数を算出するための試験デザインを提案することであった。本年度は生存時間エンドポイントに対するエンリッチメントデザインの症例数設計について議論する中で、特に予測治療効果推定の方法の議論を深めることが出来た。 諸事情により研究期間延長をせざるを得なかったことと、本来は最終年度であったことを鑑みて現在までの進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
はじめに前年度に議論した内容について国内学会ならびに論文発表を進める。その後、生存時間エンドポイントを用いたときのエンリッチメントデザインについてまとめる。平行して、実臨床での応用について医師とのディスカッションも深める。ソフトウェアの開発まで見越して活動を行うが、仮に方法論開発で予期せぬ困難が生じた場合は、方法論の整備をまず行い課題解決へ努める。
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Causes of Carryover |
2018年4月に異動し、研究環境が大きく変化した。研究環境整備のために新たにデスクトップパソコンとノートパソコンを購入した。旅費等、他の支出がないのは異動に伴う業務変化ならびに家庭の事情で十分研究に時間を費やすことが出来なかったためである。これらの事情を報告し、延長を申請し許可された。最終年度は学会参加に伴う出張や論文投稿等を中心に使用する計画である。
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