2017 Fiscal Year Research-status Report
かかりつけ医の健康影響とメカニズムに関する研究:ビッグデータと質的データの統合
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17K15846
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉山 賢明 東北大学, 歯学研究科, 助教 (90793729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者保健 / かかりつけ医 / プライマリ・ケア / 地域医療 / 総合診療 / 健康の社会決定要因 / 社会経済的状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】かかりつけ医機能の健康影響を分析するにあたって、一般集団がどの程度かかりつけ医を持っているか、かかりつけ医に期待するニーズが何であるかが明らかでない。よって、これを明らかにすることを目的にした。 【具体的内容(方法)】平成29年度、宮城県登米市民に対してアンケート調査を実施した。調査対象者は、2017 年1 月時点で登米市在住20-64歳の住民42,741 人(男22,094 人、女性20,647人)から、ランダムに抽出した男女5,000 人に調査票を送付した。質問項目は、回答者の基本属性(性別・年齢・教育歴・就業・世帯収入)、地域の医療の充足感についての認識、かかりつけ医の有無であった。 【具体的内容(結果)】登米市全体としては、有効回答は1,996 人であり、回収率は39.9%(男性37.2%、女性42.9%)であった。年代別では、50-60代の回収率が20%台と高かった。教育歴では、半数以上が12年以下であった。また、約8割の回答者が現在就労していた。世帯年収別では、300-500万円の者が最も多かった。このような対象集団において、かかりつけの病院・診療所がある者は全体で73.8%であった。また、そのかかりつけの病院・診療所の所在地は登米市内で60.6%、市外が39.4%であった。さらに、登米市内の医師の充足度に対して、全体の73.3%が「とても不足している」「どちらかといえば不足している」と回答した。不足している診療科として産婦人科医・小児科医を挙げた者は、それぞれ約半数であった。 【意義・重要性】我々の知る限りでは、日本の一地方において、一般住民がかかりつけ医を持つ割合とニーズについて初めて知ることができた。教育歴が相対的に低い集団において、かかりつけ医を持っている割合は70%超であり、経済社会的状況がかかりつけ医の有無に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年に予定していた、宮城県登米市における市民アンケート調査を配布・回収・分析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30(2018 年)年度の研究計画として、JAGES2010 年質問票の回答および死亡・要介護状態・認知症発生に関するデータの整備を行う。認知症発生に関するデータ収集・整備は2016年調査において予定されている。認知症の定義は、自治体より入手した要介護認定データのうち、「認知症高齢者の日常生活自立度」がII 以上と新たに判定された時点である。また、研究初年度に収集した登米市民調査データを整備し、JAGES コホート集団との比較可能性を検討した上で、回答の集計とともに、二次利用データを用いた地域相関分析を行う。得られた結果は地域行政や住民に向けた説明会を通じて社会に還元し、今後の施策への提言を行う。
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Causes of Carryover |
多変量解析を平成30年度に行うことになったため、当該年度の予算として計上した物品費を使用しなかった。平成30年度においてはこれらの物品費を使用する計画である。
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