2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のADL及び要介護状態の時系列変化を予測する社会環境要因の解明
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17K15847
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 順子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (30782354)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
個人の所得や社会関係、地域のソーシャル・キャピタルといった社会環境要因は高齢者の日常生活動作(ADL)の低下及び要介護認定の重要な予測要因である。例えば個人の所得や学歴、社会参加、社会的役割といった個人レベルの要因や周囲の人々への信頼や助け合いが強い地域などの地域レベルの要因が、高齢者の要介護認定や身体機能の低下と関連することが報告されている。一方で、こうした社会環境要因がADLや要介護度の望ましい経時的変化をも予測するかは不明である。そこで本研究では社会経済的データが豊富な高齢者パネルデータ(日本老年学的評価研:JAGES)と公的介護保険データを結合し、社会環境要因とADL及び要介護度の時系列変化パターンとの因果関係を検証することを目的としている。 平成29年度は、高齢者の死亡までの要介護度及びADLの程度に影響を与える要因について、国内外の文献レビューを終えた。また2010年のJAGES調査データと、2016年までの介護保険認定・賦課データを結合したデータセット(17保険者、約7万人)の作成およびクリーニング作業が終了し、記述的統計および予備分析まで終えることができた。検討する社会環境要因としては、地域のグループや会への社会参加の有無、地域レベルのソーシャル・キャピタル尺度(市民参加・社会的凝集性・互酬性)などを予定している。引き続き分析をすすめ、どのような社会環境要因が要介護期間が短く要介護度が低いパターンを増やせるかを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、高齢者の死亡までの要介護度及びADLの程度に影響を与える要因について、国内外の文献レビューを終えている。また、2010年のJAGES(日本老年学的評価研究)調査データと、介護保険認定・賦課データを結合したデータセットの作成およびクリーニング作業が終了している。さらに、記述的統計および予備分析まで終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に整備・構築したデータセットを利用し、地域レベルの社会環境要因とADL及び要介護度変化との関連について検証する。さらに、個人および地域レベルの社会環境要因とADL及び要介護度の変化パターンとの関連を検討する。これらの分析で得られた成果は国内外の学会で発表し、また、論文にまとめて国際誌へ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2017年8月10日~2017年11月15日まで産前・産後休暇、その後2018年1月末まで育児休暇を取得しており、研究中断があったため。
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