2017 Fiscal Year Research-status Report
Examination of the guidance value using urinary biomarker for organophosphorus pesticides - Paradigm shift in risk assessment -
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17K15852
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐藤 博貴 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (70775965)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物学的モニタリング / 尿中代謝物 / 殺虫剤 / リスク評価 / バイオマーカー / ガイドライン値 / 産業医学 / 労働衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、有機リン系殺虫剤の健康リスク評価に利用できる生物学的モニタリングの参照値(ガイドライン値)を設定することを目的としている。そのためには以下の2点を解明する必要がある。 ①動物実験にて、複数の有機リン系殺虫剤について、投与量と尿中代謝物量及び生体影響の用量反応関係を解明し、動物とヒトとの間の不確実係数を用いてガイドライン値を推定する。 ②実際に有機リン系殺虫剤を散布する職域集団で健康調査と曝露量調査を行い、算出された値を実際に適用してリスク評価を行い、妥当性を検討する。 今年度は、11週齢の雄Wistarラット40匹を用量別に4群に割り付け、有機リン系殺虫剤であるジクロルボスを週5日で2週間投与した。最終投与日の翌日に24時間尿を代謝ケージにて採集し、麻酔下での腹腔動脈採血により安楽死させ、脳および肝臓の採取を行った。ジクロルボスの代謝産物である尿中ジメチルリン酸量はガスクロマトグラフ質量分析計で、血中(赤血球・血漿)および脳中のコリンエステラーゼ活性はエルマン試薬を用いたVoss and Sachsse(1970)の変法により、それぞれ測定した。得られた尿中代謝物量およびコリンエステラーゼ活性の値より、ジクロルボス曝露量との関連を評価した。次年度では、毒性の異なる他の有機リン系殺虫剤を用いて同様の実験を行う予定である。 また、個体ごとの代謝能への影響評価として代謝酵素であるパラオキソナーゼ1活性の測定方法を検討した。ラットの血漿サンプルを用い、Huenら(2009)の方法により、代謝酵素によるジクロルボスの分解代謝産物を分光光度計にて定量することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は有機リン系殺虫剤のジクロルボスを用いて、Wistarラットへの反復経口投与実験を予定通りに実施することが出来た。代謝ケージを用いて採集した尿をガスクロマトグラフ質量分析計にて測定し、ジクロルボス投与量と相関する結果を得ることが出来た。また、得られた血液および脳より、コリンエステラーゼ活性を測定し、尿中代謝物とコリンエステラーゼ活性との直接的な関係を、非線形モデルを用いた解析にて評価した。 個体ごとの代謝能の影響評価については、ジクロルボス代謝物の吸光波長が小さく、分光光度計を用いての代謝能評価は難しいことが判明した。今後は代謝経路に関係する他の酵素群も含めて検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験については、ジクロルボスよりも毒性の弱い有機リン系殺虫剤を用い、同様に曝露量、尿中代謝物と健康影響との関連を明らかにする。有機リン系殺虫剤の尿中代謝産物は共通代謝物であり、実際にガイドライン値を設定する際には、由来する有機リン系殺虫剤との関連を確認していく必要がある。動物実験により設定されたガイドライン値を、有機リン系殺虫剤の散布作業を行う衛生害虫防除作業者に適用し、実際に散布した薬剤と尿中代謝物の関連を比較検討する。
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Research Products
(2 results)