2019 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中の体重推移の早産・低出生体重への影響―周産期疫学における因果モデル構築―
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17K15857
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大庭 真梨 東邦大学, 医学部, 助教 (10574361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 母子保健 / 経時データ / 妊婦体重増加 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の検討に基づき、周産期リスク因子である妊娠中体重増加量を三期(妊娠前期・中期・後期)に分けて評価し、アウトカムである出生児体重への影響を解析した。交絡因子やリスク因子として母の妊娠前情報(体格、生活習慣、血圧等の検査値)、その他父児の因子をあげた。これらの因子同士の関連を整理し、周辺構造モデルによってBOSHI studyデータを解析したところ、妊娠中期と後期の妊婦体重増加が十分であることが、児体重の増加と関連することが示された。この結果の方向性は他の先行研究とも一致していた。結果をまとめて国際誌(Journal of Developmental Origins of Health and Disease)に投稿した。体重増加が十分か不十分かを判断するカットオフ値に結果が依存する点に関して、感度解析を追加して再投稿し、2020年に受理された。 また、文献調査を通じて、本研究の副次的な目的に挙げた「体重増加不良の妊娠継続期間への影響の検討」はアウトカムである妊娠継続期間によってリスク因子の測定値が規定され、検討が困難であることが明らかとなり、その解析を断念した。そのかわり、繰り返し経時測定したリスク因子の、活用方法と統計学的効率の関係について検討し、抄録をWorld congress of epidemiology 2020(国際疫学会)に投稿した(2021年に開催延期となった)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である、妊娠中のどの時期の体重増加が出生児体重と関連するか、を明らかにし国際誌に掲載することができた。また、疫学的に新しく注目されている手法である周辺構造モデルを用いたことで、この手法の限界や、周産期領域において、使用が適する場面とそうでない場面に関して考察できたことも大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は因果モデルのみならず、繰り返し経時測定したリスク因子の解析手法とその限界について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、育児休業を取得し研究を中断したため、未使用額が生じた。繰越金は学会参加費、研究協力者との会議にかかる費用、資料や消耗品の購入、統計学的検討のためのシミュレーションコンピュータの購入に充てる。
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