2017 Fiscal Year Research-status Report
地域の住民組織活動による健康情報・行動変容の波及効果に関する疫学的検証
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17K15858
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
今村 晴彦 東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 住民組織活動 / 地区組織活動 / 波及効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の住民組織活動(保健推進委員会などの住民活動)に着目し、活動による周囲への健康情報・行動変容の波及効果の程度や範囲を、質問票を用いた縦断調査により疫学的に検証することを目的とする。主な研究実施地域は長野県K町(人口約4,700人)とし、高血圧予防を目的とした町の保健推進委員会活動(2年任期で65人)による、住民への血圧関連知識や健康行動の波及効果を検証する。 平成29年度はまず、住民の血圧関連知識や健康行動を把握するため、ベースライン調査を実施した。質問項目には高血圧の原因や関連する疾病、血圧基準値などに関する知識、および血圧計利用などの健康行動、健康状態や日常生活などを含めた。調査は平成29年8月に実施し、町の40歳以上の住民3,181人に調査票を配布し、1,893人から回答を得た(回収率59.5%)。分析の結果、高血圧の基準値や認知症との関連、血圧測定時の適切な腕の位置などについての認知度が低いと考えられた。また、回答者の約75%は家庭血圧計を持っているが、そのうち週1日以上利用しているのは約34%程度であることがわかった。 その後、効果を検証するための保健推進委員会の活動として、平成29年12月~平成30年3月の間に、町の保健師・管理栄養士との協働により「保健推進委員を対象とした健康学習会」「高血圧予防のための啓発ツール(チラシとトイレットペーパー)の作成と各世帯への配布」「地区の集会所を活用しての健康教室開催」の事業を実施した。それぞれの活動は、ベースライン調査において認知度が低いと考えられた血圧関連知識の普及や血圧計利用促進に重点を置いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施地域であるK町について、当初の研究計画であったベースライン調査と事業実施が概ね実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は事後調査を実施する。実施対象者および調査方法はベースライン調査と同様とする。また、保健推進委員(65人)を対象として、この1年間の活動状況に関する質問票調査も実施する。これらの調査結果について、ベースライン調査結果と連結し、保健推進委員やその活動に接した頻度と、血圧関連知識や健康行動の変化との関連を検証する。さらにその結果について、学会発表や論文による成果発表や、町の広報誌などによる住民への成果還元を実施したい。
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施した質問票調査の実施に関わる費用(質問票印刷費、郵送費、データ入力費)や啓発ツール(チラシとトイレットペーパー)作成費について、当初予定していた額を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 次年度は事後調査を実施予定であり、また、研究成果の公表や住民への還元を実施するため、その費用(調査実施費用、学会発表費用、論文投稿料、報告書作成費等)に充当する。
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