2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの妊娠期におけるフタル酸エステル類の代謝変動と生物学的モニタリングへの応用
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17K15860
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety Japan Bioassay Research Center |
Principal Investigator |
後藤 裕子 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部), その他部局等, 研究員 (80722090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フタル酸エステル / 妊婦 / 代謝速度 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】プラスチックの可塑剤のフタル酸エステル類は、近年、動物実験に加え疫学研究においても次世代影響が報告されている。これらの研究において適切な曝露評価と毒性評価が重要であるが、児の母体である妊婦におけるフタル酸エステル類の代謝には不明な点が多い。本研究は、妊婦におけるフタル酸エステル類の曝露評価に代謝速度の変化が及ぼす影響およびリパーゼ活性に対するエステル基の構造―活性相関を明らかにすることを目標に、妊婦血液中のフタル酸エステル類の代謝速度測定方法の開発を進めている。本年度は、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の活性代謝物であるフタル酸モノエチルヘキシル(MEHP)のLC-MS/MSでのセットアップを行い、妊婦血液中でのDEHPの代謝における基質濃度(10 μM~100 μM)との関連性を検討するとともに、リパーゼの至適温度(4℃、25℃、37℃)および反応時間(0、2、4、8、24 時間)との関連性について検討した。【結果】妊婦血液中でのDEHPの代謝において、基質濃度が低濃度(10 μM~17 μM)の場合には代謝性が低かったため、代謝性の高かった高濃度側(25 μM~100 μM)で最大反応速度Vmaxとミカエリス定数Kmを算出した。また、リパーゼの至適温度および反応時間との関係性については、結果にばらつきが見られるため、現在再実験を行いながら検討を続けている。【今後の検討課題】妊婦血液中でのDEHPの代謝におけるリパーゼの至適温度および反応時間との関連性について明らかにした後、DEHPの代謝速度測定方法を確立し、実際の妊婦血液を用いてMEHP濃度を測定するとともに、代謝速度を求めて妊娠期(23-31 週、32-34 週、35-41 週)による差異を明らかにする。また、構造―活性相関の検討のため、分析対象とするフタル酸エステル類を増やして検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機器の故障などで進展は遅くなったが、実験系自体は機能しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はDEHPのみを代謝速度測定対象としたが、リパーゼ活性に対するエステル基の構造―活性相関を明らかにするため、フタル酸ジブチル(DBP)やフタル酸ブチルベンジル(BBP)なども対象とし、代謝速度測定方法の確立を目指す。また、妊婦におけるフタル酸エステル類の代謝速度の変化を明らかにする。
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Causes of Carryover |
分析機器の故障および自身の所属先の移動で実験計画に遅れが生じた。30年度はDEHPのほか、DBPやBBPなども分析対象とするために新規の試薬の購入に使用するとともに、実験を多くできるよう消耗品の購入に使用する。
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