2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの妊娠期におけるフタル酸エステル類の代謝変動と生物学的モニタリングへの応用
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17K15860
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety Japan Bioassay Research Center |
Principal Investigator |
後藤 裕子 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部), その他部局等, 研究員 (80722090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フタル酸エステル / 妊婦 / 代謝速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】近年、プラスチックの可塑剤のフタル酸エステル類の次世代影響が動物実験に加え疫学研究においても報告されている。これらの研究において適切な曝露評価と毒性評価が重要であるが、妊婦の血中におけるフタル酸エステル類の代謝(リパーゼ活性)には不明な点が多い。本研究は、血中リパーゼ活性に対 するフタル酸エステル類のエステル基の構造―活性相関を明らかにし、その活性の変化が妊婦の曝露評価に及ぼす影響を明らかにすることを目標にした。本年度は、妊婦血中でのフタル酸ジ-2エチルヘキシル(DEHP)の代謝におけるリパーゼ活性の至適温度および反応時間との関係性について再実験を行うとともに、血中DEHPの代謝速度(リパーゼ活性)測定方法を確立し、実際の妊婦血液を用いてフタル酸モノエチルヘキシル(MEHP)濃度を測定した。妊婦の血液はすでに承認され、保存されているサンプルの中から、23-31週、32-34週及び35-41週、それぞれ30名ずつランダムに抽出した。【結果】妊婦血中でのDEHPのリパーゼ活性の至適温度および反応時間との関係性について検討したところ、37℃・4時間が至適であるとの結果が得られた。この条件で90サンプルの妊婦血液の代謝速度を求めたところ、妊娠期(23-31 週、32-34週、35-41週)による差異は見られなかった。【今後の検討課題】構造―活性相関の検討のため、分析対象とするフタル酸エステル類を増やして(フタル酸ブチルベンジル(BBP)及びフタル酸ジイソノニル(DINP)など)リパーゼ活性を測定する。また、データを精査したところ、妊婦血中でのDEHPの代謝における基質濃度(10 μM~100 μM)との関連性について再検討が必要であると考えられたため、より高濃度での再検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機器の故障で進展は遅くなったが、実験系自体は機能しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はDEHPのみを代謝速度測定対象としたが、リパーゼ活性に対するエステル基の構造―活性相関を明らかにするため、フタル酸ブチルベンジル(BBP)やフタル酸ジイソノニル(DINP)なども対象とし、代謝速度測定方法の確立を目指す。また、妊婦血中でのDEHPの代謝における基質濃度(10 μM~100 μM)との関連性について再検討を行う。
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Causes of Carryover |
現所属先では本研究に使用できる分析機器がないため、前所属先で研究を進めているが、分析機器の故障で十分に実験を行えなかった。31年度はDEHPのほか、BBPやDINPも分析対象として代謝速度測定方法を確立する予定である。そのための分析に必要な試薬、消耗品のほか、前所属先への出張費用を計上する予定である。
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