2017 Fiscal Year Research-status Report
レセプトデータ分析による地域包括ケアシステム構築に向けた医療・介護連携体制の評価
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17K15873
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Research Institution | Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
西 巧 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 主任技師 (20760739)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療・介護レセプトデータ / 地域包括ケア / 大腿骨頸部骨折 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速な高齢化とそれに伴う社会保障給付費の増加は我が国の社会保障制度の持続可能性を脅かすものである。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、効率的かつ質の高い医療提供体制及び地域包括ケアシステムの構築を実現するために、各種医療・介護データの利活用が推進されている。しかしながら、医療・介護の状況を総合的・一体的に把握可能なデータベースは構築されていない。医療・介護提供体制の実効的な改革を図るためには、医療・介護統合データベースの構築とその医療・介護連携体制の評価等への利用は喫緊の課題であると考えられる。 そこで、本研究では、特に医療・介護の連携体制が重要であると考えられる脳卒中・大腿骨頸部骨折を対象疾患とし、医療・介護連携体制の地域差とその要因、医療・介護資源利用に与える影響を明らかにすることで効率的かつ質の高い医療提供体制及び地域包括ケアシステムの構築に貢献することを目的とした。 平成29年度は、後期高齢者医療制度の医療・介護レセプトデータベースを構築し、大腿骨頸部骨折術後の後期高齢者における医療・介護費推計と増加要因について検討し、大腿骨頸部骨折術後の医療・介護費の大半を入院医療費が占めていることを明らかにした。また、周術期医療機関における費用が約48%を占めているものの、残りはその後の入院医療費と介護費であり、各段階における医療・介護費適正化の取組が必要であると考えられた。これらの成果について国内学会での発表を行った。 なお、倫理面の配慮として、既に承認されていた医療保険レセプトデータを用いた研究計画について、研究期間延長と介護保険レセプトデータについても研究対象に含むことを明記し、変更申請し、福岡県保健環境研究所疫学研究倫理審査委員会の承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は大腿骨頸部骨折を対象疾患とし、目的変数である医療・介護費の推計とその増加要因について検討した。研究計画のうち、解析を行う順番を一部変更したが、今後の研究を進めるに当たって有用な情報が得られたため、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況を踏まえ、次年度は調査対象年を増やした上で、打ち切り例に対する補正方法について検討し、術後の詳細な転帰先別に医療・介護費に与える要因について、地域レベルの医療・介護資源に関する情報を加え、解析を進める。 これらの解析結果についてとりまとめ、国内・国際学会発表及び論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
英文学術雑誌への査読後の再投稿、新規英文原稿の作成が年度を跨いだため、投稿料・校正料の次年度使用額が生じた。当初の計画通り、平成30年度に投稿料・校正料として支出する予定である。
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Research Products
(1 results)