2018 Fiscal Year Research-status Report
直腸温に基づく死後経過時間推定法の乳幼児例への応用
Project/Area Number |
17K15875
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪狩 由 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90788366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分解能0.1℃データロガー / 保管環境調査票 / データ収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、死後経過時間推定法の向上と、先行研究における乳幼児例に対する新法の検討および適応の拡大である。今年度の主な予定は、従来よりも精度の高い分解能0.1℃の温度データロガーを導入してのデータ収集と、その解析である。 我々は従来、宮城県下の全警察署に分解能0.5℃のデータロガーを配布し、死後経過時間推定の実務に利用してきた。今回、2018年5月に新しい分解能0.1℃のデータロガーへの入れ替えが完了し、実務利用を開始した。それと同時に、先行研究で問題となった「直腸温測定中の死体の保管状況」を調査するための調査票を作成・配布し、データロガーを使用したそれぞれのケースで、死体の掛け物の有無、また掛け物がある場合はその種類および掛け方(単に死体の上から被せただけか、または掛け物で死体をくるんだか、など)について、具体的に記録することとした。 2018年5月以降、調査対象とする条件に合う症例をその都度ピックアップしていったところ、2019年3月時点で乳児例では数例、成人例では十数例が対象となった。乳児例については、そもそもの解剖数が少なく、さらに一部ではデータロガー挿入の不具合などから、現時点では解析可能な症例が数例と少数に止まる。よって従来のデータロガーとの比較検討には更に症例数を積み重ねる必要があると考える。他方、成人例では従来のデータロガーとの比較や、死後経過時間推定法などについての検討結果をまとめて、2019年度の学術集会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新しい高分解能温度データロガーと死体の保管環境調査票の配布を完了し、実務症例からのデータ収集が主となった。研究の特性上、データ数は解剖数に左右される。我々の施設での従来の解剖数からは、ある程度まとまった症例収集が可能と想定されたが、それに反して本年度は解剖数が少なく、期待した症例数が集まらない結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、実務症例からのデータ収集を継続する。ただ、解剖数は我々がコントロールできるものではなく、今年度の解剖数を見ると、特に乳幼児例では最終的にデータ数が必要を満たさない可能性が危惧される。その場合は止むを得ず研究期間の延長を視野に入れざるを得ないかもしれない。他方、成人例では現時点で十数例収集できており、高分解能データロガーの意義等について検討していく。
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Causes of Carryover |
今年度は新しいデータロガーを使用してのデータ収集が主となったため、物品購入の必要が生じなかった。一方で、警察署の新設や、データロガーが水に濡れるなどして故障することがあり、その都度予備の物品を配布してきたが、それも尽きたため、次年度は予備のデータロガーの購入が必要となる。 また、体調不良等により国際学会への参加を断念したため、結果として学会参加費や旅費等の使用がなかった。次年度は学会参加を予定しているとともに、他施設に赴き当研究に対する意見交換を行う予定である。
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