2017 Fiscal Year Research-status Report
アルコール性心筋障害におけるHippo-YAP経路の破綻とマイクロRNAの役割
Project/Area Number |
17K15879
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
則竹 香菜子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (40758067)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エタノール / 心筋細胞 / YAP / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
適量のアルコールは心血管系に保護的に作用すると言われる一方、急性的・慢性的なアルコールの過剰摂取は心筋障害を引き起こすことが知られているが、その分子機序は未解明な部分が多い。我々はこれまでに、エタノール(アルコール成分)によるアクチン細胞骨格の破綻および、細胞増殖や細胞死を制御するHippoシグナルの標的である転写共役因子YAPの機能阻害が、アルコールによる心筋細胞障害に関わる重要な因子であることを明らかにしている。microRNAは、標的mRNAに結合することで遺伝子発現を抑制する小分子RNAで、心臓において心筋の線維化や不整脈などの病態に多種のmicroRNAが関与していることが知られている。また、YAPは複数のシグナル伝達経路によって制御されていることが知られており、microRNAとの相互作用により、心筋細胞の増殖や再生に関与しているとの報告がある。本研究では、エタノールによる心筋細胞障害におけるYAPとmicroRNAの役割について明らかにすることを目的とした。エタノールによって発現変動するmicroRNAを同定するため、マウス心房筋由来HL-1細胞にエタノールを曝露しmicroRNAマイクロアレイを行った結果、心筋特異的に発現するmiR-133aの発現量が減少することが確認できた。また、miR-133aの標的mRNAで、不整脈誘発に関わるHcn2(過分極誘発陽イオンチャンネル)および、細胞周期に関わるCyclin D2の発現量が増加していることを確認した。しかし、miR-133aの標的であり、またYAPの標的としても知られるCTGFの発現量は減少していた。これらのことから、エタノールによるmicroRNAの発現変動が、心筋細胞障害に関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エタノールによる心筋細胞障害にYAPの機能阻害が関与していることを明らかにし、その内容を雑誌に掲載することが出来た(Noritake K et al., J Toxicol Sci., 2017;42(5):545-551. )。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、エタノールによって発現変動が確認できたmicroRNAを過剰発現またはノックダウンした培養細胞を用いて、YAPの発現は細胞内局在変化、また細胞死への影響などを評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の計画が順調に進み、次年度に於いて行うべき実験の増加が予想されたため。
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Research Products
(3 results)