2018 Fiscal Year Research-status Report
NASHを背景とした急性心筋梗塞発症への臓器間クロストークの影響
Project/Area Number |
17K15881
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮尾 昌 京都大学, 医学研究科, 助教 (90711466)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 法医病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、法医解剖における死因診断精度を向上させるために肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝炎などのメタボリック症候群における病理学的診断方法の開発を目指すことを目的にしている。そのために、非アルコール性脂肪性肝炎を背景とした急性心筋梗塞発症への臓器間クロストークの影響を明らかにすることが重要と考えた。 平成30年度は、以下のことを明らかにした。 ①NASH進展期病態に共通点の多い慢性胆汁うっ滞疾患モデルマウスにおいて、炎症反応を引き起こすキーとなるKupffer細胞が病態が進展するごとに質的にも量的にも病的変化が増悪することが分かった。 ②同モデルにおいて、Kupffer細胞の病的変化と病態進展に因果関係があるかどうかを調べるため、Kupffer細胞を枯渇化させる薬剤を投与しプラセボ群と比較、解析したところ、Kupffer細胞を枯渇化させると病態進展が緩やかになることが分かり、Kupffer細胞の病的変化が原因で病態進展を促進していることが分かった。 ③Kupffer細胞は炎症の誘導だけでなく、病原体などの外的要因や壊死した細胞由来の老廃物を取り除く作用もあるため、病態回復期には回復を促進させる働きがあると仮説を立て、同モデルの回復期にKupffer細胞を枯渇化させて解析を行った。すると、仮説通り、病態進展期とは逆に、枯渇化させた群ではプラセボ群と比較し病態回復が有意に遅延することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度の研究計画では、内皮細胞傷害がNASH病態にどの程度寄与するかを知るために、コリン欠乏食および高脂肪食投与モデルを異なる病期の病理組織学的解析を行い、ミトコンドリア障害などの酸化ストレス評価と細胞間シグナル伝達の変化を同定する予定であったが、実務を行う時間が増えたことと、本研究課題を発展させるための国際共同研究へのエフォートを増やしたため本研究の実 験研究時間を充分に確保できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に行うことができなかったNASHにおける内皮傷害の役割を解明するため、コリン欠乏食モデルを作製し、病理組織学的解析を行う。
|