2018 Fiscal Year Research-status Report
Forensic DNA Phenotyping(FDP)による身長予測
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17K15882
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
西 健喜 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70759472)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身長予測 / Forensic DNA Phenotyping / FDP / SNP / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボランティア150名において身長に関連したDNAの解析を行った。アジア地域で身長に有意な関連の見られる15 SNPについて解析を行い、多くのSNPで効果アリルに従った結果が得られている。rs3771381(ZNF638近傍)、rs11970475(UBD)、rs2251830(HCG22)、rs3809128(CNPY2)等の因子寄与率の高いSNPでは強い影響力が確認されたが、rs10448080(EXTL3)、rs4733789(MYC)等においては身長との関連性を確認することは出来ず、因子寄与率も比較的高いrs258324(CDK10)においては逆の効果を示す結果となった。原因としてサンプルの不足、アジア地域内での差異の影響も考えられる。身長との関連が確認された9 SNPにおいて、効果Allele保有数をスコアとして身長との相関関係を算出したところ、相関係数は男性=0.303 女性=0.293であった。 現在までの結果およびGWAS研究から、身長を予測する上では更に多くの身長関連SNPの解析が必要であり、特定人種・民族に利用するには人種特異的なSNPの選択も必要だと考えられる。また同じアジア地域においても差異は存在しており、より日本人において影響力の高いSNPの検討は必要な状況である。今後の予定としてアジア・ヨーロッパの両地域において、共通して身長と関連した報告のある遺伝子領域(ZBTB38、CABLES1、GDF5、HIST1H2BF、HMGA2等のIntronおよび近傍に存在するSNP)と日本人との身長との関連を解析し、SNaPshot Multiplex Systemを用いた簡便迅速なSNP検出法の開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度における「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の改定に伴い、倫理委員会の承認を得るのに遅れが生じた。そのため研究において必須となるボランティア募集開始に遅れを生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、優先度が高いと推測される身長関連SNPを選択し、Primerの設計を行っている。選択にあたって「ヨーロッパ・アジアの両者において高い関連性を有するSNP(または近傍のSNP)」「アジアで高い関連性を有するSNP」を中心に選択している。 SNPの選択にあたり、連鎖不平衡に関連して近傍に偏っていないかを考慮すべきである。またヨーロッパでは高い因子寄与率を有するもアジアではその効果が示されない場合が少なからず存在するが、地域・人種によるAllele出現頻度に関連したものも多く[効果Allele出現頻度例:rs4272(CDK6)EU=0.224 ASIA=0.100、rs2638953(CCDC91)EU=0.318、ASIA=0.042]、近傍において関連を示唆される連鎖関係にあるSNPの検討も行うべきである。同様にアジアにおいて効果が示されるも他地域において効果が示されない場合も存在しているが[例:rs10519302(CYP19A1) EU=0.050、ASIA=0.305]、同地域内での身長の差異に関与する可能性も考て扱うべきである。上記を踏まえて選択されたSNPと日本人身長との関連を解析・検討した後、その解析結果からSNaPshot Multiplex Systemを用いた簡便迅速なSNP検出法の開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2017年における「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の改定に伴い、倫理委員会での研究承認を得るのに遅れが生じた。これによりボランティア募集開始自体に遅れが生じ、残りの募集予定人数分の謝礼、DNA抽出および解析に関連する試薬、また迅速な身長関連SNP検出法の開発作成費用等が次年度使用額として生じている。
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