2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of goreisan on rat mesenteric lymphtic vessels.
Project/Area Number |
17K15891
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
条 美智子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (80432110)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | リンパ浮腫 / ラット腸間膜リンパ管 / 漢方方剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではラット腸間膜およびそのリンパ管を用いることにより、それらの形態学的検討や分子生物学的解析を行い、五苓散の新たなリンパ浮腫治療方法の構築 およびその作用機序の解明を目的に、本研究を進めてきた。これまでの研究により、五苓散にはラット腸間膜リンパ管の収縮に対する効果は認められなかったが、五苓散の構成生薬である沢瀉には30mg/mlの濃度でラット腸間膜リンパ管収縮速度を有意に低下させたことが分かった。 漢方方剤である五苓散とその構成生薬である沢瀉を2g/kgをSDラットに投与し、投与1時間後に麻酔下で開腹、盲腸近傍から結腸近傍を切離し、顕微鏡下で腸間膜リンパ管を単離した。単離した腸管膜リンパ管をvessel chamberに付属したガラスピペットに挿入し、AQP1、VE-cadherin、aSMAタンパク質を用いてリンパ管の免疫組織化学染色を行なった。AQP1タンパク質は発現していないまたは発現量が低く確認できなかったが、VE-cadherin、aSMAはリンパ管壁に発現していることを確認した。また単離したリンパ管を用い、PCR法により水チャネルであるAQP1、リンパ管形成に関与するProx1、リンパ球の接着・遊走に関与するLYVE-1のmRNAの発現量を解析した。AQP1mRNA発現量は低く解析ができなかったが、五苓散と沢瀉のProx1、LYVE-1発現量はコントロールに比べ、減少傾向を示した。 以上のことより、五苓散と沢瀉のラット腸間膜リンパ管収縮速度を低下させた理由として、リンパ管の機能不全が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単離した腸管膜リンパ管を用いて免疫組織化学染色を行なっているが、抗体濃度の条件検討や共焦点レーザー顕微鏡での画像の検出条件の設定に時間を費やしているため当初の計画より多少遅れている。 また単離した腸管膜リンパ管のタンパク質およびRNA量が低いため、計画よりも時間を費やしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
SDラットに五苓散および生薬エキスを投与し、麻酔下で開腹、盲腸近傍から結腸近傍を切離後、顕微鏡下で腸間膜リンパ管を単離しAQP1、CD31 、podoplanin、VEGFR-3 、VEGFR-C のタンパク質量およびmRNA発現量を測定する。 さらにタンパク質局在性を解明するために、腸間膜リンパ管を顕微鏡下でvessel chamberに付属したガラスピペットに挿入し、AQP1抗体、podoplanin抗体、VEGFR-3 、VEGFR-C 抗体、LYVE-1 抗体およびCD31 抗体を用いリンパ管の免疫染色を行う。
|