2018 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群における腸管粘膜上皮表層細菌叢と病勢との相関解析
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17K15895
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 潤 神戸大学, 医学研究科, 特定助教 (50631561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
過敏性腸症候群(IBS)は、健常人と比べ糞便中の腸内細菌叢構成の違いが指摘されているが、腸管粘膜上皮により近い上皮表面のムチン層内の細菌叢の違いとその病態への影響については不明な点が多い。当研究の目的は患者の腸管粘膜上皮表面の細菌叢に疾患特有性があるかを明らかにすることである。 これまでの研究で、粘膜上皮表面のムチン層に存在する細菌叢の採取方法の条件検討を行い、次世代シーケンサーによって、粘膜上皮表面のムチン層の菌叢の標準的解析方法を確立した。この解析方法を用い、IBS患者と非IBS患者で、粘膜表層細菌叢の解析を行い、IBS患者の大腸粘膜上皮表面のムチン層内の細菌叢の構成が糞便中の細菌叢構成と大きく異なり、さらに健常人とIBSで比較すると糞便よりも粘膜上皮表面のムチン層内の細菌叢の構成の違いがより大きいことが示唆された。現在症例数を増やし解析中である。さらにIBSの同一患者で、内視鏡検査をされた患者から粘膜表層細菌を採取し、IBS患者での長期間での粘膜表層細菌の変化は個人内では少ないことを明らかとした。 今後、IBSの患者の中でIBSの病勢、治療抵抗性、治療反応性と腸管粘膜上皮表面の細菌叢との相関を明らかにするためにIBS患者の菌叢の違いを解析予定である。粘膜上皮表面の細菌叢の違いがIBS診断や病勢のバイオマーカーとなる可能性や、腸内細菌を介したIBS発病メカニズム研究および腸内細菌を介したIBS治療開発への進展が見込まれ、その波及効果は大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究で、粘膜上皮表面のムチン層に存在する細菌叢の標準的解析方法の確立を行った。粘膜上皮表面のムチン層に存在する細菌叢の採取方法の確立と、次世代シーケンサーによる粘膜上皮表面のムチン層の菌叢の標準的解析方法を確立した。さらに、この解析方法を用い、IBS患者と非IBS患者で、粘膜表層細菌叢の解析を行ってきた。しかしながら、研究へ同意し参加される対象者の増加ペースが当初予想していたよりも伸びず遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、IBS患者の症例数を増やし、IBSの病勢、治療抵抗性、治療反応性と腸管粘膜上皮表面の細菌叢との相関を明らかにする。引き続き次年度も解析を継続し、未使用額はサンプル解析にともなう経費や発表に伴う経費に充てる。
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Causes of Carryover |
これまでに解析に関する条件検討を行い、疾患群における粘膜表層細菌の解析もすでに開始しているが、研究へ同意し参加される対象者の増加ペースが当初予想していたよりも伸びず遅延した。そのため、引き続き次年度も解析を継続し、未使用額はサンプル解析にともなう経費や発表に伴う経費に充てる。
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Research Products
(1 results)